川島清 DOUBLE 銅版手彩色

ギャルリー東京ユマニテ、2023年5月29日〜6月17日 現代作家画廊個展 鑑賞日:5月31日(水) 金属の針を持ち、銅の板を傷つける。銅の板の内部は均等ではなく、その粒子は層になって折り重なっている。その薄い、ほとんど厚みのない層の、重なりを目指して、…

白井晴幸 「COPY | RAYS | VIEW」

HECTARE、2023年5月3日〜5月28日 現代作家画廊個展 鑑賞日:5月23日(火) 強い陽射しのなか、木々の葉が風に揺れる。風になびき、ゆらゆらと不規則な反復運動を繰り返す葉の向こうに青空が見える。青空と私の眼の間に存在するもの。それが何かは知っている…

ダムタイプ|2022: remap

第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 アーティゾン美術館、2023年2月25日〜5月14日 現代作家海外展帰国展展 鑑賞日:5月12日(金) 情報はいつでも手に入る状況にありながら、まったく入ってこない。なぜだろう。デバイスはこの手にあ…

「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄

千葉市美術館、2023年4月8日〜5月21日 近現代写真企画展、公立美術館巡回 鑑賞日:5月12日(金) 日常を日常として生きる。その日々は常ならず、日々別のものとして現れる。しかしその日々の差異を取り立てて言挙げることなく、日々というものは変化するもの…

横尾龍彦 瞑想の彼方

神奈川県立近代美術館 葉山、2023年2月4日〜4月9日 物故現代作家公立美術館3会場巡回個展 鑑賞日:3月26日(日) 私は私ではない。私という個体は存在しているのだが、それは関係性のなかの一つの状態に過ぎない。そしてその個体も確固としたものではなく、…

野村和弘 むしろ、幸せの音

gallery 21yo-j、2023年3月9日〜4月2日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月19日(日)、25日(土) 世界から私が受け取った感覚と情報。それは私の身体に入ってきた時に、世界とはいったん切り離される。私自身が世界の一部であることに異論はもちろんない。皮膚…

長谷川 彩織「 迷子の風景 −水槽の花園− 」

KATSUYA SUSUKI GALLERY、2023年3月4日〜3月21日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月19日(日) すべての細部が同じ価値を持った世界に入り込んだ時、視覚は喪失する。その機能は保持されているとしても、網膜から先の統合するエリアにおいて情報の混乱が発生する…

坂口恭平日記

熊本市現代美術館、2023年2月11日〜4月16日 現代建築家美術館個展、自主企画単独開催 鑑賞日:3月15日(水) 何かを作るということ、ある場所に暮らすということ。この2つは人として生きるということに結びついている。おそらく根源的なことでもあるだろう…

アーバン山水

Kudan house、2023年3月10日〜3月19日 現代作家画廊外グループ展 鑑賞日:3月12日(日) 建築はその様式と様式の需要において、土地と時間と深く結びついて、生活の、そして風景の一部となる。それは人の生活の一部として、人の生活をゆっくりと変化させてい…

戸谷森「pass by」

GALLERY TAGA 2、2023年2月24日〜3月20日 現代作家画廊個展 鑑賞日:2月24日(金) 描くということは、それを目的としていないにも関わらず、何かを表象することになってしまう。ここに問いが3つ生まれる。表象されたものは何であるか。それはどのように表象…

黒坂祐「眺めと見分け」

KATSUYA SUSUKI GALLERY、2023年2月4日〜2月26日 現代作家画廊個展 鑑賞日:2月19日(日) 世界認識は、感覚器官に依るところが大きいのはもちろんのこととして、そのうえで世界認識の方法について思考を拡げるときに、感覚器官の特性についても触れる必要が…

加藤学展

藍画廊、2023年1月10日〜1月21日 現代作家画廊個展 鑑賞日:1月17日(火) 空気の厚みになかに光の粒子が散っている。空気の流れとともに、その粒子たちも変化して、その先にあるはずの事物、山や川や家並みは、形を持たずに私へと届く。その届く間での変化…

辰野登恵子 版画展 - 1982 – 2012 -

シロタ画廊、2023年1月14日〜1月28日 物故現代作家画廊回顧展 鑑賞日:1月17日(火) 手の先が訓練から解放される。訓練は自分で課したものであり、強制ではなかったはずなのだが、俯瞰してみると強制ではあったのかもしれない。もちろん自分で選んだことで…

雰囲気のかたち

うらわ美術館、2022年11月15日〜2023年1月15日 公立美術館テーマ展 鑑賞日:1月8日(日) 目に見えないものを、目に見えるようにする。言葉としては、成立しているように思えるが実際のところどうだろうか。目に見えないものが、形となって現れたとして、そ…

雰囲気のかたち

うらわ美術館、2022年11月15日〜2023年1月15日 公立美術館テーマ展 鑑賞日:1月8日(日) 目に見えないものを、目に見えるようにする。言葉としては、成立しているように思えるが実際のところどうだろうか。目に見えないものが、形となって現れたとして、そ…

大竹伸朗展

東京国立近代美術館、2022年11月1日〜2023年2月5日 共催:日本テレビ放送網 現代作家国立美術館回顧展 鑑賞日:1月5日(木) 混沌のなかの秩序について考える。混沌には混沌に至る理由がある。その理由を辿っていけば、混沌から脱したように思えるかもしれな…

石田尚志「庭の外」

Taka Ishii Gallery、2022年10月15日〜11月12日 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月10日(木) 動き続けるもののなかに身を置き、その動きに身を委ねて、抗うことはできない。ただ流れに身を任せつつ、その流れの意味を探っていく。その時間のなかに不動ななにか…

近藤恵介|絵画の手と手

LOKO GALLERY、2022年10月28日〜11月27日 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月18日(金) 物事には作法がある。そこに気付くと作法を理解し、習得してみようと考えるものだ。何事にも作法はあり、そして創造されていく。歴史的に輸入されたもの、いやこの国におい…

平松麻「待つ景色」

Gallery SU、2022年11月12日〜11月27日 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月18日(金) 朝起きて、顔を洗い、一日が始まる。着替えて、家を出る。天気も気温も毎日違う。すれ違う人も、耳に入る言葉も毎日違う。しかし、私は毎日動き、食べ、眠ることを繰り返して…

白井晴幸「景色の光景」

GALLERY TAGA 2、2022年11月10 日〜12月20日 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月17日(木) 光を切り取る作業と光を定着させる作業との境はない。そのどうにもならない機械性というか、物理的な出来事にどのように立ち会うかが、機械を操作する人間の役割になっ…

山口勝弘展 『日記』(1945-1955)に見る

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館、2022年2月12日〜4月17日戦後物故作家公立美術館テーマ展、自主企画単独開催鑑賞日:3月27日(日)何を再現するのか?世界の一部か?全体としての私か?どちらも仮定でしかなく、しかも幻想であり、現実に抗することができな…

渡辺豪 個展 所在について

ANOMALY、2022年3月5日〜4月2日現代作家画廊個展鑑賞日:3月24日(木)すでに失われたものたちが、もう一度消える。場所を変えただけと考えることもできようが、そもそも場が消滅し、所だけが存在している。つまり位置を把握する術がないので、場所が変わる…

笠井麻衣子「Moonlight 」

Yuka Tsuruno Gallery、2022年3月5日〜4月2日現代作家画廊個展鑑賞日:3月24日(木)影を見つける。私自身の。私は光に照らされていないから、影を持つことができない。自ら輝くこともしない。では暗闇のなかに一人で置き去りにされているのかというと、そう…

生誕100年 松澤宥展

長野県立美術館、2022年2月2日〜3月21日戦後物故作家公立美術館回顧展、自主企画単独開催鑑賞日:3月20日(日)形態は機能を持つ。機能を充足させるための形態を創造する。機能は目に見えない。だから形態を消す必要がある。機能は私に作用する。あなたにも…

開館30周年記念 特別展 限らない世界 / 村上三郎

芦屋市立美術博物館、2021年12月4日〜2022年2月6日戦後物故作家公立美術館回顧展、自主企画単独開催鑑賞日:12月22日(水)行為には終わりがない。限りもない。すべてが行為でしかないことは誰しも理解しているはずだが、状況によって作法を要求してくる。作…

滝本優美個展

GALLERY33 SOUTH、2021年12月16日〜12月20日現代作家画廊個展鑑賞日:12月19日(日)風景は色彩としてある。その実体の質感は限りなく色彩の質感に置き換えられていく。距離と密度が均質になりつつあり、そのような色彩のなかを泳ぐように進む。風景は触覚的…

山口由葉個展「四角い宇宙」

TAKU SOMETANI GALLERY、2021年12月11日〜2022年1月16日現代作家画廊個展鑑賞日:12月19日(日)目の前を通り過ぎる風景と私は、どのような関係を結ぶことができるのだろうか。それらの事物と出来事は、本来はまったく関係がない。しかし、私はある一瞬、そ…

梅津庸一展 ポリネーター

ワタリウム美術館、2021年9月16日〜2022年1月16日現代作家美術館個展鑑賞日:12月19日(日)集めよう。とにかく。時間とともに消えていくものを。それ自体の価値は不明でも、きっとそれは何かを媒介する役割を持つはずだ。その相手が見つからないとしても、…

東影智裕 五島記念文化賞 美術新人賞 研修帰国記念「見えない時間」

旧平櫛田中邸アトリエ 、2021年9月23日〜10月10日現代作家個展鑑賞日:10月7日(木)生命の欠片を拾う。それはすでに動かず、生を終えたもの。欠片にもう一度生が宿ることはない。抜け殻ではなく、かつて生命を持っていたなにかの一部ではあるのだが。その欠…

小牟田悠介「新しい天体」

SCAI THE BATHHOUSE 、2021年9月7日〜10月9日現代作家画廊個展鑑賞日:10月7日(木)私とあなたの接点が複数ある。それを図に表した時、形体が生まれる。関係が単純な線となって現れ、私とあなた以外の人々ともその線は繋がれている。しかし、平面的に拡がり…