黒坂祐「眺めと見分け」

KATSUYA SUSUKI GALLERY202324日〜226

現代作家画廊個展

鑑賞日:219日(日)

 

世界認識は、感覚器官に依るところが大きいのはもちろんのこととして、そのうえで世界認識の方法について思考を拡げるときに、感覚器官の特性についても触れる必要が出てくる。世界について認識するには、世界に偏在する様々なものの存在の属性とその関係性を見なければならない。それはどのような物体で、どのように存在するのかと。もしくはどのように存在していないのかと。その存在にまさしく触れることもでき、掌の内側にあるように把握することも可能ではあるのだか、その感覚を拡張し触覚的に世界を認識するという方法もあるだろう。もっとも原初的でもあり、造形的には彫刻の領域としてあるが、それを視覚と交差するように併用することも可能だ。視覚的な認識を量塊に置き換える。目の前にあるものや人物と空間との境界は、物質の密度と温度によって生まれる。そこで距離が問題となってくるのだろう。自分と対象との間にも、物質は充満しているから。視覚は距離を無効にし、さらには捏造するが、触覚は距離をかたちにする。