2015-01-01から1年間の記事一覧

奥田栄希 /悲しいゲーム展

2015年10月17日〜11月21日、Takashi Somemiya Galleryy 現代作家画廊個展 鑑賞日:10月17日(土)ルールを破壊することによって崩れるのは自分自身。その崩れを崩れとして認識し、その崩れのなかに再生を願うのではなく、崩れ自体を自己として引き受ける。崩…

寺田真由美「温湿シリーズ 視る眼差しx看る眼差し」

2015年10月13日〜11月13日、ベイスギャラリー 現代作家画廊個展 鑑賞日:10月17日(土)あらかじめ設定された空間は、かつての空間であり、現在が存在しない。その存在しない空間を仮構し、現前させる。その空間は常に不在のであり空虚でしかない。その空虚…

画家の詩、詩人の絵−絵は詩のごとく、詩は絵のごとく

平塚市美術館、2015 年9月19 日〜11月8 日 近現代美術館テーマ展、共催:美術館連絡協議会、公立館4会場共同企画巡回 鑑賞日:10月4日(日)ある伝わらない想いを、伝わらない方法で表現する時、その方法の正しさを確認する術はない。なぜなら伝わらないこと…

今井俊介 | 額田宣彦 "line & color"

Hagiwara Projects、2015年10月3日〜11月14日 現代作家画廊二人展 鑑賞日:10月3日(土)必要なものを現出させるために、まず不要なものを排除する。必要なものを現出させるためには、考えうるものを詰め込む。正反対にも見える二つの行為は、同じことである…

生誕200年記念 伊豆の長八ー幕末・明治の空前絶後の鏝絵師

武蔵野市立吉祥寺美術館、2015年9月5日〜10月18日 近代物故作家回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:9月26日(土)技術が創意をうながし、表現を開く。その表現は作者のためではなく、他者のためでもなく、腕の先から手の先から未知の世界へと向かう。かつて見…

ふれるめ|sight touching

Talion Gallery 、2015年9月6日〜10月4日 現代作家画廊グループ展 鑑賞日:9月17日(木)目の前にある光景を、自分自身の属する空間として捉えるために、手を差し出す。その手は風景のなかには溶け込まず、異物として光景の一部となる。差し出した手によって…

画家たちと戦争ー彼らはいかにして生きぬいたのか

名古屋市美術館、2015年7月18日〜9月23日 時代検証グループ展、自主企画単独開催 鑑賞日:9月2日(水)人として生存することと画家として生存すること。結果は予想できても絶対ではなく、体制に抵抗する気がなくとも、行為によって体制側に判断される日々。…

戦後70年記念 20世紀日本美術再見 1940年代

三重県立美術館、2015年7月11日〜9月27日 年代別回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:9月2日(水)特殊で抑圧された時代に、特殊で抑圧された表現だけが、その時代を表すかという問い。その問いを答えとして求める時間がいかに長かったことか。特殊で抑圧され…

デジタル×ファッションー二進法からアンリアレイジ、ソマルタまで

神戸ファッション美術館、2015年7月11日〜10月6日ファッション技法+現代デザイナー展、自主企画単独開催 鑑賞日:9月1日(火)作ることに対する絶対的な意志と不信とが同じ強度でせめぎ合う。私の自由な感覚をもとに作り上げられたかたちを、私は必要としな…

パウル・クレー だれにもないしょ。

宇都宮美術館 、2015年7月5日〜9月6日 近代画家回顧展、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会、公立美術館2館巡回 鑑賞日:8月30日(日) あの世ではない。この世でもない。何かが産まれて来る場所はどこにあるのか。それは自然と成るものではなく、私がこの…

スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり

渋谷区立松濤美術館、2015年8月8日〜9月21日 テーマ展、共催:美術館連絡協議会、国内美術館5館巡回 鑑賞日:8月27日(木)見えない血をたどり、原初へ還る。その原初は、生命としての始原ではなく、創造の始まりのことだ。創造の始まりを内包しているからこ…

開館30周年記念「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」

練馬区美術館、2015年7月12日〜9月6日 物故彫刻家回顧展、共催:美術館連絡協議会、公立美術館3館巡回 鑑賞日:8月25日(火)造形すべき理想のかたちは、ある時明確になる。素材を確かめ造形する。そのかたちを支える思想は、変化しているようで、していない…

村野藤吾の建築 模型が語る豊饒な世界

目黒区美術館、2015年7月11日〜9月13日 物故建築家回顧展 鑑賞日:8月23日(日)ひたすら形をトレースする。縮尺を替え、素材を替え、相似形の輪郭が残る。輪郭と輪郭を接合しより大きな形を作り出す。実際の素材をトレースしているのではないことは、元より…

日本近代彫刻展

武蔵野美術大学美術館、2015年5月25日(月)〜8月16日(日) 日本近代海外企画凱旋帰国展、共催:ヘンリー・ムーア・インスティチュート 鑑賞日:7月9日(木)似て非なるものの様式から、似たる箇所と非なる箇所を弁別する。その弁別の根拠となるものは、ど…

笠井麻衣子「おはなしのつづきのはなし」

YUKA TSURUNO GALLERY 、2015年5月16日〜6月13日 現代作家画廊個展 鑑賞日:5月29日(木) この一瞬も物語が途切れることなく、時間は進んでゆく。物語る意志と力があれば、すべては物語として再構成され、新たな現実として再現される。私はこの一瞬の現実に…

サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡

原美術館、2015年5月23日〜8月30日 海外物故現代作家国内初個展、国際巡回展再構成 鑑賞日:5月27日(水)身体の、腕の、動きが画面に作用する。絵具が定着させるのは、身体の運動の跡であるが、それは意味の始まりでもある。運動が意味を発生させるのではな…

藤本壮介展 未来の未来

ギャラリー間、2015年4月17日〜6月13日 現代建築家画廊個展 鑑賞日:5月20日(水)どのようにしても空間は発生する。というよりも、人間は常に空間を見出してきた。どこにでも空間を発生させることができると言い換えられよう。その空間の意味は何か。空間と…

鈴木繭子 スプール

秋山画廊、2015年4月20日〜5月2日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月28日(火)今、部屋の中へと降りていこうとしており、その部屋の内側という空間は私の外部として存在する。その外部である空間を私の内部へと変換するために、別の外部をそこに創造しなければ…

わたしの穴 美術の穴

スペース23℃、2015年4月3日〜4月26日 現代作家画廊グループ展 鑑賞日:4月25日(土)太古に祭事の場として共有されていた穴は、現代においては別の形態へと移し替えられている。それは物理的な穴という形はとっておらず、もしかしたら物理的な実体をもはや持…

岸本光大「Once Upon Times」

タカシソメミヤギャラリー、2015年4月4日〜5月9日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月16日(木)目の前にあるあらゆるものの表面が処理されている。その実態ではなく、表面の処理がそのものとして流通する。価値は表面にしかないかのように。しかし、実態はどこに…

二木直巳展ーー眺望と構造ーー

ギャラリエ・アンドウ、2015年4月7日〜4月18日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月15日(水)定められたルールは線の内部に存在する。そのルールを外れることはなく、線は引かれる。引かれるのは結果としての姿であって、線は自ら進み自ら止まる。彷徨うことはな…

phono/graph -音・文字・グラフィック-

神戸アートビレッジセンター、2015 年 3 月 21 日〜4 月 12 日現代作家ユニット個展、自主企画単独開催 鑑賞日:4月5日(土)形態として解体できないものから、形式として付与された意味を取り除く。形体としての全体性を破壊することができないから、そ…

若林勇人「重力と恩寵」

hpgrp GALLERY TOKYO、2015年3月27日〜4月25日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月1日(水)遠心力によって粒子が整列し回転によって形が定められる。地球上のすべての事物は遠心力の作用を受け、エントロピーの法則によって拡散する。本来、バラバラであるはずの…

建築/非建築の荒野で──廃墟・身体・生のポリティクス

東京大学駒場キャンパス、2015年3月30日 シンポジウム 鑑賞日:3月30日(月) 物事を構築するさいに必要となる自己分析と他者分析の在り方を、実在の配置構成を通して概念を顕在化することで、問う。自己が他者のなかに回収され、言及すべき自己が失われたと…

熊澤未来子展「咆哮」

ミヅマアートギャラリー、2015年3月11日〜4月11日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月28日(土) 蠢く部分部分の集合体が全体を形成することを拒否しつつ結びつき、奥行きを作り出す。それぞれのパーツは、形としては親和性があるものの、意味としては分かたれた…

彫刻家 長澤英俊 特別対談ーー見えない存在−何もしないということ

イタリア文化会館、2015年3月28日 現代作家講演会 鑑賞日:3月28日(土) グローバリズムの中心である資本主義を生み出した近世イタリアに住まうからこそか、芸術を社会と隔絶させるために芸術家はいると、自己定義する。その芸術作品も実は資本というパトロ…

生誕110年 海老原喜之助展ーエスプリと情熱ー

横須賀美術館、2015年2月7日〜4月5日 近代物故作家回顧展、公立館3館巡回、共催:東京新聞 鑑賞日:3月5日(木) 天と地の境はなく、ひじょうに希薄で澄んだ大気の向こうで、地から蒸発する物質と天から降りてくる物質とが等しく混ぜ合わされる。そのなかに…

遠藤利克 空洞説ー円い沼

秋山画廊、2015年2月2日〜2月28日 現代作家画廊個展 鑑賞日:2月19日(木) 溜まり。ある運動がかつてあった徴として、物質が凝縮し、その場に存在する。空間に、ではなく、溜まりが存在するのは、場でしかない。その運動は、発生を基本とし、満ちていくもの…

高松次郎ミステリーズ

東京国立近代美術館、2014年12月2日〜2015年3月1日 現代物故作家個展、自主企画 鑑賞日:2月18日(水) 認識し得ない何かを認識するために、今現実に認識できないものを手掛かりとして思考を開始するそれは認識できてしまっているものなのだが、目の前に物体…

越前谷嘉高展

なびす画廊、2015年2月2日〜2月21日 現代作家画廊個展 鑑賞日:2月14日(土) 目の前にある世界を何かしら手触りのある実体として把握し、その実体の感覚を描くには、目の前の世界の姿を自ら失い変型することが必須となる。世界というものがもともと実体では…