戦後70年記念 20世紀日本美術再見 1940年代

三重県立美術館、2015年7月11日〜9月27日
年代別回顧展、自主企画単独開催
鑑賞日:9月2日(水)

特殊で抑圧された時代に、特殊で抑圧された表現だけが、その時代を表すかという問い。その問いを答えとして求める時間がいかに長かったことか。特殊で抑圧された時代であり、特殊な抑圧にさらされた人々が多くいたことに変わりはないのだが、時間が何かを変えてしまったのだろうか。特殊な抑圧の個別性を精査することで、その普遍性希薄化することなしに、抑圧の正体を見極める必要がある。時代はどこにあるのか。時代は誰とともにあるのか。ある普遍のなかで発生した特殊性に目を向け、耳を傾け、時代は普遍のなかにあると知る。その普遍は、特殊の連なりであるとともに、変わらないものの連なりでもある。特殊な時代だからといってあらゆるものが特殊である必要はない。特殊な表現だからといって、特殊な環境で創作されたのではない。どのような環境にあっても見たいものを見て、表したいものを表す。それを時間の変化のなかで、その特殊性を抽象化したなかで、それぞれの個別へと還していく。