高見澤文雄新作展

ヒノギャラリー、2016年4月4日〜4月23日
現代作家画廊個展
鑑賞日:4月15日(金)

線と線との重なりの間にある空間を、色彩の差異として表す。とはいえ、その空間は隙間としては存在していない。距離は現実のものではない。視覚的な奥行きが、現実には存在しない距離を作り出す。そのなかで細く曲りくねった色の帯は、部分的に自己の役割を果たし、部分として全体を構成する。本来であればすべて一つの平面として色彩の奥行きを孕みながら、空間の混乱=光のきらめき=擬似空間を創出していたはずだ。しかし、絵画平面のなかで、それらはいくつかの色に分割還元され、面から線へと縮小され、部分の集合体としての全体へと再構成される。その全体で発する現実と非現実こそ近代以降の絵画の秘技であり、画家が絵筆を持つ所以となる。絵具によって再現された現実と非現実の両立、二律背反したままの状態が、実は現実の光景であることを、絵画は暴いていく。