2017-01-01から1年間の記事一覧

戸張花展

ギャラリイK、‪2017年11月13日〜11月25日‬ 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月22日(水)物事は変容する。その変容の結果としてある形を持つ。その形はあらかじめ決定されていたものではなく、かといって、完全なる偶然の結果でもなく、ある行為と素材との関係か…

小川遥展―手鏡―

かわかみ画廊、‪2017年11月11日〜11月25日‬ 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月22日(水)文字が連なるように草木が私の周囲を囲み、その花や葉が目の前に幾重にも揺らめいている。その一つ一つを凝視する。そこに事物の優劣はなく、すべては等価になり、奥行き…

涯テノ詩聲(ハテノウタゴエ )詩人 吉増剛造展

足利市立美術館、‪2017年11月3日〜12月24日‬ 現代詩人回顧展、公立3館巡回、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会 鑑賞日:11月18日(土)私が発する言葉は、私の言葉であって私の言葉ではない。私は身を振りながら言葉を発するも、その身振りが言葉であり、…

戸谷成雄―現れる彫刻

武蔵野美術大学美術館、2017年10月16日〜11月11日 現代作家回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:11月11日(土)世界に、目の前の空間に、よく知っているはずの場所に、何か異質なものが存在する。その異質なものは、他者の手によってどこかしら加工されている…

石井琢郎 肌理のつらなり

秋山画廊、2017年10月21日〜11月5日 現代作家画廊個展 鑑賞日:10月25日(水)物体は求心的なものとして空間のなかにあり、我々は外からその物体の内側を見るように鑑賞する。その一方で、求心的な物体は空間に向かって広がり空間を規定するものとしてある。…

大槻素子 / Passing Scenery

Takashi Somemiya Gallery、2017年10月12日〜10月28日 現代作家画廊個展 鑑賞日:10月25日(水)何気ない光景が私を捉える。光景が私を捉え、私が光景を捉える。そこに介在する私の感情は、光景のなかにある。私は私を探しており、私は私が何者であるかを知…

三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館

渋谷区立松濤美術館、2017年10月7日〜11月26日 現代作家による企画展、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会 鑑賞日:10月12日(木)作品は作品として完結した、閉じた世界を体現していることは、自明としてあるのだが、作品はそのもの以外の有象無象と関係づ…

二木直巳展ー初期の見晴らし台ー

ギャラリエ アンドウ、2017年9月12日〜9月23日 現代作家画廊個展 鑑賞日:9月21日(木)目の前にあるが、手が届かない距離にある。実体は感じている。形態も把握している。感覚としては希薄ではあるが、存在している。そのものとの距離を前提として、その存…

引込線2017

旧所沢市立第2学校給食センター、2017年8月26日〜9月24日 現代作家グループ展、自主企画単独開催 鑑賞日:9月15日(金)態度を示さないとカタチが生まれない。何かのカタチを生み出すために、所作を決めるというわけではないかのだが、その所作を育む態度か…

額田宣彦 "parallel"

Hagiwara Projects、2017年6月24日〜7月23日 現代作家画廊個展 鑑賞日:7月20日(木)秩序を規定するための原理について問わなければならない。問うというよりも、描くことで色付け、図式を抽出し、問うと同時に解をえるというべきだろうか。問いは複数あり…

中西夏之展 私は願う 太陽に向かって種子を播きたいと

女子美術大学アートミュージアム、2017年7月5日〜8月4日 現代物故作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:7月12日(水)行為というものが、意識のみによって司られているとは、もはや考えることができない。より正確にいうならば、意識が、行為者の意識のみを指…

衣川明子 糞して寝ようか

URANO、2017年5月20日〜6月17日 現代作家画廊個展 鑑賞日:6月8日(木)私の身体を何者かが通り抜ける。それは私自身でもあるはずなのだが、私はここに居続ける。その何者かは、私のどうにもならない感情、記憶、願望として、私を苛み、私を勇気づける。私は…

関口正浩「Warped」

児玉画廊|天王洲、2017年5月20日〜6月24日 現代作家画廊個展 鑑賞日:6月8日(木)表面は抽象的な層であると同時に、奥行きのない物体でもある。その層をディスプレイのなかの架空の次元のみに成立する、もしくは絵画空間のなかの架空の概念的な領域として…

日本、家の列島 ―フランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザイン

パナソニック汐留ミュージアム、2017年4月8日〜6月25日 現代建築企画展、共催:朝日新聞社 鑑賞日:6月8日(木)モダニズムというものは日本のためにあると、日本は勘違いするのではない、といった詩人がいたというが、日本のモダニズムは、モダニズムではな…

石井友人「未来の家」

Maki Fine Arts、2017年5月13日〜6月11日 現代作家画廊個展 鑑賞日:5月31日(水)何かを始めるために、始まりを確認する。その始まりが本当に始まりとして正しいのかを、確かめるために。しかし、いくつもの始まりがあり、いくつもの終わりがある。むしろ、…

坂本龍一|設置音楽展

ワタリウム、2017年4月4日〜5月28日 現代音楽家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:5月21日(日)絶え間なく耳の奥に入り、消えていく音。その音に秩序と無秩序を与え、音と時間を一つにする。その音と時間を結びつける秩序と無秩序を規定するために、音と時間…

横尾忠則 HANGA JUNGLE

町田市立国際版画美術館、2017年4月22日〜6月18日 現代作家ジャンル別回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:5月9日(火)図像はそれぞれに意味を持ちメッセージを発する。そのメッセージを増幅あるいは消滅させることで、新たなメッセージを送り出すことができ…

N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅

森美術館、2017年2月4日〜6月11日 現代海外作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:5月7日(日)星が巡り私はいる。草木が茂り私はいる。あなたはいて、私はいない。地球上の誰もが同じ星を見ているわけではなく、今、私が見ているあなたの見る星を私は見ること…

生誕150年 正岡子規展 ――病牀六尺の宇宙

県立神奈川近代文学館、2017年3月25日〜5月21日 近代俳人回顧展、公立館自主企画単独開催 鑑賞日:5月3日(水・祝)僅かにしか動かない身体。その一部は強張り自分の意志の通わない部位と成り果て、さらに身体の内側にいたっては元より預かり知らぬところで…

木魂を彫る−砂澤ビッキ展

神奈川県立近代美術館葉山、2017年4月8日〜6月18日 現代物故作家回顧展、公立美術館自主企画単独開催 鑑賞日:4月30日(日)風が吹きすさぶ荒野のなかで、ひとりで生きることの気配を探り続ける。誰もいない深夜に生き物が動く。その微かな音を言葉とし、そ…

椎木静寧キュレーション展「きこえないおと」角田俊也、松井茂、森弘治

TALION GALLERY、2017年4月15日〜5月14日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月29日(土)自らの生理を知覚、認識し、それを生理ではなく、統御可能な事柄へと変換するために、見えないものを見ようとし、聞こえないものを聞こうとする。それらは振動し、域を持つ。…

加納光於≪稲妻捕り≫Elements 1978

ギャルリー東京ユマニテ、2017年4月10日〜4月28日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月26日(水)粒子が振動し、方向性を持ち始め、しかし回転する。その運動のなかに磁場を持ち、運動の軌跡を保ちつつ凝固し始める。回転は、辿り着くことのない中心に向かって連続…

牧野真耶−ゆるやかな日々−

かわかみ画廊、2017年4月8日〜4月29日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月9日(日)記憶が、その記憶は映像でなく嗅覚であったり触覚であったりする、物質化して目の前に立ち上がる。その時、記憶は過去のものではなく、今ここにある物質となった記憶は、かつて記…

草間彌生 わが永遠の魂

国立新美術館、2017年2月22日〜5月22日 現代作家国立美術館回顧展、共催:朝日新聞社、テレビ朝日 鑑賞日:4月8日(土)私はどこにもいない。世界のなかに私のいる場所はない。私という意識は世界のなかにあるはずなのに、私という実体をそこに確認すること…

藤原彩人 -GESTURE-

gallery21yo-j、2017年3月9日〜3月26日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月25日(土)身体は有機的で閉じた塊ではなく、その都度架構される一時的な構造物が連続した状態に過ぎない。絶え間なく動き、自立し、その構造体は皮膚の下に隠れている。そして、そこで展…

コンタクトゴンゾ展 フィジカトピア

ワタリウム、2017年2月5日〜3月26日 現代作家美術館個展、自主企画単独開催 鑑賞日:3月25日(土)感情が発生する以前、身体は物体でしかない。ある感情がほとばしった後も、身体は物体でしかない。感情が発露している只中にあっては、理性によっても悟性に…

吉岡徳仁 スペクトル

資生堂ギャラリー、2017年1月13日〜3月26日 現代デザイナー画廊個展 鑑賞日:3月23日(木)目に見えるものはすべて光。目に見えるものから意味を剥ぎ取り、見えるものの純度を上げていくためには、光の純度を上げる。光の純度を上げると光は光でなく、さらに…

高柳恵里|事実

TALION GALLERY、2017年3月12日〜4月9日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月22日(水)身振りが私の周りにある事物の存在の仕方を決定し、周りの事物が私の存在の仕方を決定する。事物はそれがそのように存在したい方法で存在しているのではない。私の身振りが所…

多田圭佑 FORGE

MAHO KUBOTA GALLERY、2017年3月10日〜4月28日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月23日(水)世界は作られたものであり、その創造と展開にはパターンがない。世界はバラバラであって、脈絡はない。そのためある統合という理念のもとに全体が構成されているわけで…

スティーブ・ビショップ "What Would It Be Without You"

TALION GALLERY、2017年1月14日〜2月12日 現代作家画廊個展 鑑賞日:2月2日(木)花嫁なき独身者は、ただ部屋に佇む。孤独とは一人でいることではない。一人でいることは充実している。世界と自分とが等価であるから。それはパースペクティブの問題でもある…