絹谷幸太展 -宇宙からのまなざし ―

√K Contemporary、2024年4月13日〜5月25日

現代作家画廊個展

鑑賞日:4月12日(金)

 

人類の誕生よりはるか以前、数億年の単位で地中で堆積し、凝縮する。そのなかでも、その凝縮にさらに圧力がかかり、できた亀裂に異物が入り、さらに凝縮する。地球の、しかし、表面に浮いている流動物の動きによって作られたものが、そうとはいっても人のスケールでは地下深く沈んでいたものが、これもまた表面の流動により、人の目に触れることになってしまう。その石を人は無機物として分類し、生命のない物体としてとらえているが、本当にそれでいいのだろうか。オカルトとして一笑されるようなことをあえて記すのは、人は石と対話をしていきた歴史があると考えているからだ。宇宙の塵から地球が誕生したというならば、石も人も、宇宙の塵でしかない。その塵がどこからどのように発生したかは知らないが、互いに派生物でしかないという前提に立ち、小石を手に取って、そっとポケットに入れる。空は青くもあり、灰色であり、鈍色でもある。おそらく人間は石を通じて大気を通じ合えるのではないか。呼吸とは違い、交感という方法で。生きるためではなく自らが存在するために、石に触れる。