2020-01-01から1年間の記事一覧

上田亜矢子展「かたちの音階」

Gallery SU、2020年12月12日〜12月27日現代作家画廊個展鑑賞日:12月20日(日)発掘された古代の遺物は、白い石を削って加工されたものであり、その姿は人であり、かつ楽器とも目されるといわれている。確かに人は楽器となることもできよう。石も音楽を奏で…

栗原佑実子展「project for Eternal mirror たゆたえど」

ギャルリー東京ユマニテ、2020年12月14日〜12月19日現代作家画廊個展鑑賞日:12月17日(木)世界は反射されることで眼球に捕えられ、視覚によって認識される。だから目にしているものは、実体ではなく虚像ということもできよう。皆、虚像が、虚像でしかない…

大月雄二郎「油田の東」展

Galerie LIBRAIRIE 6、2020年12月5日〜12月20日現代作家画廊個展鑑賞日:12月11日(金)旅が終わることはない。帰る場所を見失った訳ではないが、そこは帰るべき場所ではなくなったのかもしれない。移動は肉体というよりも、精神に依拠するところが大きい。…

橘田尚之「基底材とメデューム」

gallery 21yo-j、2020年12月10日〜12月27日現代作家画廊個展鑑賞日:12月11日(金)皮膚が裏返る。皮膚の裏側は、表としては機能できない。内部が空洞となっていたとしても。すべては筒状からの変形でしかないとしても。表と裏は、確実に存在し、交換不可能…

村橋貴博「DOROTHY」

UTRECHT、2020年12月1日〜12月13日現代作家画廊個展鑑賞日:12月8日(火)そこに在る。手を伸ばして触れる。触れたかのように扱う。そこにあまり差異はない。なぜなら触れたという感覚が、その後の展開を支配するからだ。全体は触覚によって形作られる。その…

やましたあつこ個展「Utopia」

TAKU SOMETANI GALLERY、2020年11月28日〜12月22日現代作家画廊個展鑑賞日:12月8日(火)そこにあることは、わかっている。それは記憶のなか。見たことはないが、見た記憶がある風景。手を伸ばす。繰り返し。届いているはずなのに、触れたことはない。それ…

石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

東京都現代美術館、2020年11 月14日〜2021年2月14日国内物故デザイナー回顧展鑑賞日:12月2日(水)詰まるところ、人間は大地であり、土でしかない。土に別物の仮面や覆いを被せて、なにかを表現することに、どんな意味と機能があるというのか。土が、いくつ…

カール・アンドレ

TARO NASU、2020年11 月28 日〜12 月26 日現代海外作家画廊個展鑑賞日:12月2日(水)まず単位について考えよう。単位とは、構成要素の最小限となるもののことだ。ここに一枚の鉄板がある。鉄板と「鉄板」という言葉と、どちらを単位にすべきか。一枚の鉄板…

冨井大裕 斜めの彫刻

Yumiko Chiba Associates、2020年10月17日〜11月21日現代作家画廊個展鑑賞日:11月21日(土)物の周囲には、なにかがある。そのなにかは、物によって変化する可能性がある。そのなにかは、領域が定まっていない。無限ということもできるし、ある範囲までと限…

戸張花「内在ーImmanence」

LOKO GALLERY、2020年11月13日〜12月6 日現代作家画廊個展鑑賞日:11月20日(金)熱が放射され、液体は固化する。本来の姿に戻ったにすぎないことではあるのだが、元の姿ではない。加えられた熱が失われていくとともに鉄自体が有していた時間が放射され、新…

阪口鶴代 ー中くらいの7つの詩ー

Gallery SU、2020年11月14日〜11月29 日現代作家画廊個展鑑賞日:11月19日(木)顔料の粒子の一つ一つを感じ、私のものとし、私自身となるよう、支持体に載せる。その矩形の領域に、粒子が立ちあがり、積み重なる。層をなして、厚みを持ち始める。私のなにか…

小川万莉子「misty form」

GALLERY 麟、2020年11月18日〜12月5日現代作家画廊個展鑑賞日:11月18日(水)空間を作る。視線が入っていけるように。それは、かつて見た光景。その光を再現する。そこに色彩はあるのか。風は流れている。その風の流れを、画面に留めるのか、送りだすのか。…

青木聖吾「この世界を紡ぐ」

LOKO GALLERY 、2020年10月2日〜10月31日現代作家画廊個展鑑賞日:10月30日(金)世の中が影の集積でできているのは、自明だ。それは、反射光で世界が成立しているのと同じように、現実を覆うもう一つの世界があるからだ。人はそのもう一つの世界を見ようと…

児玉靖枝 asile

gallery 21yo-j、2020年10月16日〜11月1日現代作家画廊個展鑑賞日:10月30日(金)無数の空間。形の定まらない、夥しい数の、小さく分けられ、すべてがひと繋がりの。花がそれを分節化する。枝がそれを再創造する。揺れる。動く。細かく、そしてゆっくりと。…

ドナルド・エヴァンズ

横田茂ギャラリー、2020年10月26日〜11月13日物故海外作家画廊個展鑑賞日:10月29日(木)今、目の前に世界がある。確実に。私はその世界の一員として、生活をしている。はずだ。友人もいれば、職場もある。とはいえ、私はこの世界に満足をしているのだろう…

寺田真由美 不在について 5つのシリーズから

鎌倉画廊、2020年9月12日〜10月24日現代作家画廊個展鑑賞日:10月21日(水)既にいない人の視線を体験する。病院の病室のベッドから見ていたであろう景色。その場所に私もいて同じ窓枠の外の景色を見ていた。しかし、見ているものは異なっている。同じ景色が…

平松麻展「待つ雲」

Gallery SU、2020年9月26日〜10月11日現代作家画廊個展鑑賞日:10月1日(木)自分がどこにいるのかわからない。自分がどこに向かっているのかもわからない。地はある。天もある。その間に私は居て、私はいない。何か手にするものを探さなければならない。そ…

大塚智嗣展 蘇生

巷房1、2020年9月14日〜9月19日現代作家画廊個展鑑賞日:9月16日(水)表面を作らなければならない。作るべき表面を必要としているものも、元来表面を持っているとしても。表面を整えることで形が定まる。表面を施されなくても、形は既にある。どちらが本来…

リチャード・セラ ドローイング展

ファーガス・マカフリー東京、2020年6月20日〜8月29日現代海外作家画廊個展鑑賞日:8月1日(土)大地に触れる。両手を土の表面で動かし、土を集め、跡を残す。形を作る。形は生まれる。どこかにあった物体が移動することで。それはまた、いつしか崩れ、失わ…

西岡良太展「一身上の都合により」

Fuma Contemporary Art Tokyo 、2020年7月28 日〜8月12日現代作家画廊個展鑑賞日:8月1日(土)見えないものを見えるように描く。見えるように。あたかも見たように。誰もが同じものを見るように。見えるものはない。見えないものがある。だから見えるものを…

想像上の生き物

theca(コ本や)、2020年7月14日〜26日現代作家画廊グループ展鑑賞日:7月22日(水)絵画は動く。留まらない。形を変え続ける。どのようなものにでも。支持体がある限り。どこにだって、存在可能だ。しかし、描くことからは逃れられない。描かずには絵画は成…

樋口朋之「PROCESSING FLOW 」

The White、2020年7月14日〜8 月1日現代作家画廊個展鑑賞日:7月17日(金)物事は進んでいく、もしくは収まっていく。あらかじめ結果を定められていたかのように。その結論のために全勢力を注いでいるかのように。本当にそうなのだろうか。振り返ることはし…

掘りだされたときIII 小川待子

中長小西、2020年7月10日〜7月22日現代作家画廊個展鑑賞日:7月17日(金)土を掬う、手の形に。握って固める。それもまた、手の内側の形。手は土と共にあり、土は時間と共にある。土の時間を確かめるために、何ができるか。手の形の意味をもう一度考える必要…

オラファー・エリアソン ときに川は橋となる

東京都現代美術館、2020年6月9日〜9月27日現代海外作家個展、共催:産経新聞社鑑賞日:7月14日(火)世界には構造がある。原理がある。それを突き止めよう。構造と原理をイデアとして提示することは成立しない時代に入っているが。イデアはその影に隠し、別…

山田哲平個展「The Dawn」

TAKU SOMETANI GALLERY、2020年7月4日〜7月26日現代作家画廊個展鑑賞日:7月12日(日)形のないものに、形が見えてしまうようになったのは、いつからだろう。常に姿を変える波。その海の表面の現れかた。その姿は静止画として把握できないことはわかっている…

青木野枝「微塵」

gallery 21yo-j、2020年7月2日〜7月26日現代作家画廊個展鑑賞日:7月10日(金)軽く不安定で微細なものが、空間を満たしている。それらは、所々に塊を作り、また分散し、空間全体を形作ってもいる。微細なものは、漂ってはいても、重さを持つ。いつかは地上…

古典×現代2020ー時空を超える日本のアート

国立新美術館、2020年6月24日〜8月24日国内現存作家+古美術企画展、共催:國華社、朝日新聞社、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会鑑賞日:7月8日(水)遠くから風が吹いてくる。目を凝らしても何も見えない。何者かがそこにいる。こちらの声は届かな…

寺田真由美「天視ーAnother Angleー」

Gallery OUT of PLACE TOKIO、2020年6月19日〜7月19日現代作家画廊個展鑑賞日:7月4日(土)目の前に景色が広がる。それは私の居る場所に続いているはずだが、景色は途中で止まる。切れると言ったほうがいいだろうか。本当は続いていないのかもしれない。し…

青木陵子+伊藤存 変化する自由分子のWORKSHOP展

ワタリウム美術館、2020年3月29日〜8月30日現代国内作家二人展、自主企画単独開催鑑賞日:7月2日(木)誰かのためではなく、自分に何ができるのかを考える。自分がある場所に位置しているとしても、その場所に過剰に依拠せず。その場所で手のするものを使っ…

ピーター・ドイグ展

東京国立近代美術館、2020年2月26日〜10月11日現代海外作家回顧展、共催:読売新聞社、ぴあ鑑賞日:6月25日(木)目に見えるものは幻。目に見えないものも幻。その二つに違いはない。描かれるべきものに実体はなく、描かれたあとも存在しない。それでは、問…