やましたあつこ個展「Utopia」

TAKU SOMETANI GALLERY20201128日〜1222

現代作家画廊個展

鑑賞日:128日(火)


そこにあることは、わかっている。それは記憶のなか。見たことはないが、見た記憶がある風景。手を伸ばす。繰り返し。届いているはずなのに、触れたことはない。それでも確実に存在する。在るということを、作り出さなければならない。そこは私がいるべき場だから。とはいえ、場といっても、広がりはない。空間は存在しない。こちら側と向こう側の境界のみが、私の目の前にあり、私は向こう側へ行く必要があるのに、手を伸ばすことはできても、足を踏み入れるところがない。遮るものもないというのに。確かに見えているのに。誰が向こう側で待っているのかもわかっている。本当だろうか。それは誰なのだろう。誰でもいい。誰であれ、私自身でしかないのだから。こちら側にいる私が偽物。私は存在しない。いるはずがない。だから、記憶と向こう側とが繋がり、私のいる場所は存在しない。