寺田真由美 不在について 5つのシリーズから

鎌倉画廊、2020912日〜1024

現代作家画廊個展

鑑賞日:1021日(水)


既にいない人の視線を体験する。病院の病室のベッドから見ていたであろう景色。その場所に私もいて同じ窓枠の外の景色を見ていた。しかし、見ているものは異なっている。同じ景色が同じではなかった。あの人は何を見ていたのだろう。そして、何を見ていなかったのだろう。さらに、何を見たかったのだろう。私が見たいものは、その人が見たかったもの。存在しないのは、その人自身であり、その人が見たかった景色。光景。世界。その目の前に存在するものすべて。その景色を私が見るためには、何ができるだろう。記憶の外へ。見たものの外へ。再現はできない。創造するしかない。どうやって。それは存在しないということを、証明する行為となる。何が存在しないのか。存在しないのは私ではなかったか。その場に私はいたのだろうか。私が見たものは、存在したのだろうか。そのために、景色は創造されなければならない。