須藤玲子:NUNOの布づくり

水戸芸術館現代美術ギャラリー、2024年2月17日〜5月6日

現代テキスタイルデザイナー公立美術館個展、公立美術館2館巡回。企画:高橋瑞木。

鑑賞日:5月2日(木)

 

繊維という線が、編まれ集積され平面になる。二次元の繊維がかさらに加工されて三次元の造形物となっていく。三次元であることは必要に応じて生成されたことで、二次元のままでも意味を持つ。その色彩や繊維の構築から派生する意味によって、そこに鑑賞という視覚による受容が発生することになる。それと同時に、その二次元の繊維は、原初としては身体を包むものとしてあっただろう。それは視覚よりも触覚が優位となる構造がある。繊維をある物体から生み出す行為に、手が介在してきた長い時間がある。と同時に人の手が介在しないで繊維が産み出させる、そして、人の手ではできない力により繊維から、平面が、さらに立体が出現してきた歴史もすでに存在する。その出現の方法に対する実験を繰り返す。かつてからの素材と希望により生まれた素材と。人の手と、人を超えた力と。組み合わせながら探っていく。可能性を。その先にあるものがなにかを。