開館30周年記念 特別展 限らない世界 / 村上三郎

芦屋市立美術博物館、2021124日〜202226

戦後物故作家公立美術館回顧展、自主企画単独開催

鑑賞日:1222日(水)


行為には終わりがない。限りもない。すべてが行為でしかないことは誰しも理解しているはずだが、状況によって作法を要求してくる。作法通りにすると、作法を捨てろといわれる。そこで行為に戻る。行為を基準に考えたとき、規範というものはない。限りがないのだから。すべては日常に帰し、行為は意味を持たなくなってしまう。それでもなお、行為する私の主体というものがあるとして、行為によって日常とは別の次元に入ることができるのだとしたら、私はやはり行為を日常へと返すべきだろう。日常を横目に安全な規範のなかで行為を繰り返すよりも。それらの行為が何かより劣っていると考えているわけではない。ただ私はより危険で日常でしかない場にいたいのだ。サイコロを転がすような手つきで、他の人の暮らしに侵入する。侵犯はしない。そっと紛れ込んで、記憶から消えていく。その繰り返しだ。私は何者なのか。私は知らない。知る必要もない。