宇佐美圭司 よみがえる画家

東京大学駒場博物館、202171日〜829

現代物故作家大学美術館特集展示

鑑賞日:816日(月)


遠い世界で起きた出来事と私は繋がっている。絵を描く行為という一点で、世界中の絵画作品と意図せず接続してしまうように。私の存在が他者の存在を導き、他者が私を形作る。その関係性を考察しよう。できるだけ具体的に。目の前の恋人がいるとしても、その関係が目に見えることはない。肉体の接触によって、初めて他者を私にとって関係のある他者として認識できる。一方、遙か彼方の土地に見たこともない人がいることを知ることがあり、その人物たちも確実に、今現在、私と関係している。これを具体的に把握したい。直接的に把握することは不可能だから、私と彼との間に架空の道筋を設定して、その道筋上のやりとりを明らかにしていく。すると彼方にいる彼がどのような人物なのか、具体的に把握できないことが判明する。そこで、その人物に対して新たな関係を設定し、分析する。情報の断片となった彼とともに、道筋で繋がっている私も断片化していく。これによって私の具体性は、彼の具体性と等しくなっていく。この作業を繰り返すなかで、架空の道筋こそが本質を形成していたことに気づく。