イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い

宇都宮美術館、2024年3月10日〜5月12日

海外現代作家個展、自主企画単独開催。

鑑賞日:4月27日(土)

 

なにかしら動き、形を変え続ける。そこに人と物の区別はない。全体を構成するそれぞれのパーツは、独立した動きを持つ。その個々の動きを統括するシステムが、動きを統括しているために、そのパーツの意味を忘却し、パーツを入れ替えていく。全体はいびつに見えるが、そこに大きな問題はない。フォルムの整合性を求めてはいないからだ。むしろ整合性を変化させるべきではないだろうか。システムは問題なく稼働している。そこにストーリーは生まれない。ただ動いているだけだから。その動きに寓意を求めることも不要だろう。寓意なき世界でこそ、人と物は交換可能になり、互いの生を確かめ合う。そう、物にも生があるという前提を持たなければならない。物自体が、その存在を稀薄なものとして、奥行きを持たないでもいるのだけれど、だからこそ生が発生する可能性がある。その生は物を仮の宿とすることなく、人のなかに入り込み、そのために人の存在も限りなく消えていくことになる。