野村和弘 美しい直線ー反語的タイトル

gallery 21yo-j2019912 日~929

現代作家画廊個展

鑑賞日:922日(日)


視覚が捉えたある何物かを、色彩として空間に展開する。物質は物質のまま、身に纏っている色彩そのものとなり、空間へと投げ出される。そこには動きが伴い、あるルールに従ったのち、静止という状態へと帰着する。静止した色彩は、ルールから外れた場合のみ新たな意味を持つ。なんの意味を? 意味など最初からあったのだろうか? 意味はいつ設定されたのだろうか? ずらされた物質同士の色彩の関係から、意味が発生する。それまでは関係を持たない別々の系に属していた。ただ色彩という系を除いて。だから意味を有する可能性があるのは、色彩だけということになる。とはいえ色彩は形態を伴う。色彩は色彩として自立できない。常に何者かに依拠しなければならない。空中にあったとしても。そして目は脳と一体化している。色彩を物質から解放し、見ることを認識から解放する。それは(静止も含めた)絶え間ない運動のなかでのみ成立する。