大月雄二郎「油田の東」展

Galerie LIBRAIRIE 62020125日〜1220

現代作家画廊個展

鑑賞日:1211日(金)


旅が終わることはない。帰る場所を見失った訳ではないが、そこは帰るべき場所ではなくなったのかもしれない。移動は肉体というよりも、精神に依拠するところが大きい。目と耳と口と鼻と、全身の器官を用いて、その場にいながら、移動する。移動し続ける。大きく、そして小刻みに。時間の経過が必然的にもたらす変化は、それほど重要ではない。長期間一つの場所に留まり、絶えず全身を新たに置き換えることで、移動は成立する。であれば移動は旅なのか。目的はあり、しかし終わりのない旅。移動しないことも、旅の要素の一つだ。目的地に向かう。目的地とは帰る場所であり、まだ見ぬ場所として、目の前にあり、私は、今、そこに立っている。肉体は大きく動くことができない。精神が肉体から離れ、帰る場所を見失うことがないよう、今日も旅と名付けた静止を続けている。