松浦悠子個展


GALLERY b. TOKYO20181210日~1215

現代作家画廊個展

鑑賞日:1213日(木)


それは欠片でしかないのだが、ある聖性をまとって、置かれている。その形は引き剥がされる前の、その一部としてあった全体を示唆する。そのため、欠片は絶えず全体への復帰と、自らの膨張・増殖を夢見て、その場で静止している。再び全体へと還ることができると言うのだろうか。かつて属していた場所に収まったとしても、もはや結合することはできず、傷を持った遺物として存在するしかないのでは。なぜなら全体はその力ですでに快復し、欠落を補っているから。

では、欠片はどこに還るのか。その聖性は、どのようにもたらされたのか。えぐり取られ投げだされたことによて、手にしたものは、新たな可能性ではない。戻るべき場所を暗示しつつ、静かにその場所に留まる。時間による変化を受けず、不動のものとして。