イケムラレイコ 土と星 Our Planet

 
国立新美術館、2019年1月18日~4月1日
現代作家公立館回顧展、国際巡回、共催:バーゼル美術館
鑑賞日:2月18日(月)
 
土に還る。ゆっくりと。溶けて朽ちていく。土と同化し、私は全体となる。背中を風が駆け抜け、雨水が体に浸み込んでくる。野に火が放たれる。忌むべきものを、燃やすため。私も燃える。しかし、私はほとんど土になっているから、大きくは変化しない。ほとんど?体の形を留めたまま、その内側から土へ還る。表皮は表皮のまま土と化して、かつての形を保とうとする。内部から土と同化した私にとって、かつての形は意味を持たない。かつてそうであったというだけのことだ。虚ろとなった形に私はいない。すでに全体となっているため、個体には意味が発生しない。全体という個体はない。そこには部分もない。茫漠として把握することのできない全体。全体には私という意識はないが、私は全体であることが自覚できる。虚ろとなったかつての私の形に、光が降り注ぐ。

 

イケムラレイコ 土と星 Our Planet

イケムラレイコ 土と星 Our Planet