絵と、 vol.5 中村一美

ギャラリーαM2019126日~323

現代作家画廊個展

鑑賞日:313日(水)


世界をどのように見るかは、どこに視点を設定するかによって、大きな枠組みが決まる。枠組みが先か、視点が先かは、あまり重要でないとする。結果としてそれは混交した姿として現れ、その視点と枠組みが設定の一つでしかないということを暴くからだ。視点と枠組みは、描かれるものによって裏切られる。俯瞰をしても、全体を見ることはできない。しかし俯瞰は、見ることが全体であることを標榜し見られる対象をも取り込んで、架空の全体を構成する。とはいえ、それが断片に過ぎないということも、共通の認識としてある。虚構としての視点とその視点を裏切る物体としての画面。その関係の歪みを、絵画として成立させることは可能か。その問いは、別の要素、関係に入り込み、振動する歪みに錨を下ろすための夾雑物によって、目に見えるようになる。虚構を実体として把握するために。

透過する光―中村一美著作選集

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