多田圭佑 FORGE

MAHO KUBOTA GALLERY、2017年3月10日〜4月28日
現代作家画廊個展
鑑賞日:3月23日(水)

世界は作られたものであり、その創造と展開にはパターンがない。世界はバラバラであって、脈絡はない。そのためある統合という理念のもとに全体が構成されているわけでもなく、さらに見えない構造によって展開の方向性が定められていることもなく、部分は全体と等価であることのみが、共通の了解事項となる。このような世界を再現するには、なにか目に前にあるものをできる限り忠実に移し替えることが求められる。さらに同じ方法で移し替えるならば、それが現実の世界に存在しないとしても、その存在の様式が世界と等価であるために、それは世界の再現となる。ここにおいてあらかじめあるものと作られたものの差はなくなり、作られたものが世界の一部として再生産されていく。世界とはもともとそのようなものであり、それは私たちの身体さえも常に品質の安定しないコピーでしかなく、作られたものによって補完されていくことと同根でしかない。