2019-01-01から1年間の記事一覧

瀧口修造/加納光於《海燕のセミオティク》2019

富山県美術館、2019年11月1日~12月25日現代作家公立美術館回顧展、単独開催鑑賞日:12月20日(金) 形象は、計らずも色彩を纏う。影であれ、輪郭であれ。色彩は形象に即して発生してしまう。色彩を召喚しないことの不可能性。その原理を確かめるために、形…

松浦寿夫企画連続個展 Météore – 1 鷲見和紀郎「考える月」

gallery 21yo-j、2019年12月5日~12月22日現代作家企画、現代作家画廊個展鑑賞日:12月19日(木) 存在はある形態を保持し、そして緩やかに崩れていく。その表面が進行しつつある崩壊の一瞬の様相。存在の崩れを、その時間的推移を、仮の形として、物体に置…

坂田一男 捲土重来

東京ステーションギャラリー、2019年12月7日~2020年1月26日近代物故洋画家回顧展、単独開催鑑賞日:12月13日(金) 解体して配置をする。解体の原理と配置の原理は、異なるしかないのだが、どういうわけか私のなかでは一つとしてある。しかし描くなかで、画…

種まきの地図 平松麻

LOKO GALLERY 、2019年11月8日~11月30日現代作家画廊個展鑑賞日:11月26日(火)見ているのに見えない風景がある。なんでもないこと。特別記憶すべき事柄でもない。しかし、見たい時には見ることができない。それをどうカタチに留めるのか。カタチにすれば…

磯崎新の謎

大分市美術館、2019年9月27日~11月24日現代建築家美術館個展、単独開催鑑賞日:9月27日(金) 首謀者は姿を見せない。なぜなら彼/彼女は、かつての廃墟になかに冷たく横たわっているから。彼/彼女自身が廃墟であると言ってもいい。それはすべてが破壊され…

田沼利規個展 「絵ー肌」

TAKU SOMETANI GALLERY 、2019年9月7日~9月29日現代作家画廊個展鑑賞日:9月22日(日) 表面の内側へ。もしくは内側から表面へ。物理的な存在そのものが不確かな膜のような表面を往還する。膜を膜としたら表面ではなくなる。擦り、そして写しとることで、表…

野村和弘 美しい直線ー反語的タイトル

gallery 21yo-j、2019年9月12 日~9月29日現代作家画廊個展鑑賞日:9月22日(日)視覚が捉えたある何物かを、色彩として空間に展開する。物質は物質のまま、身に纏っている色彩そのものとなり、空間へと投げ出される。そこには動きが伴い、あるルールに従っ…

ジュリアン・オピー

東京オペラシティ アートギャラリー、2019年7月10日~9月23日現代海外作家美術館個展、単独開催鑑賞日:8月27日(火) 人の存在を抽象化してみる。人はそこにいて立ち、振る舞い、通り過ぎる。鳩も同じ。その歩き去った人は皆本当に存在したのだろうか? 視…

クリスチャン・ボルタンスキー −lifetime

国立新美術館、2019年6月12日~9月2日現代海外作家美術館個展、国内3館巡回、共催:朝日新聞社鑑賞日:8月22日(木) 死はやってくる。本人の意思とは関係なしに。その方法の選択さえ許されず。しかし、意思を持ったものが他人の死を決定づけることは可能で…

渡辺佑基 ねじれの回廊

LOKO GALLERY、2019年7月12日~8月10日現代作家画廊個展鑑賞日:7月24日(水) 描かれた画面から、作者が目にし絵具に置き換えたであろう事物を想像する。その、意識もしない程の短い時間において同定された事物は、見るものの認識のなかでは、描かれたもの…

宮本隆司 いまだ見えざるところ

東京都写真美術館、2019年5月14日~7月15日現代作家美術館個展鑑賞日:6月12日(水)何に眼差しを向けるのか。浮かびあがった像を前にして、その像に眼差しを向けた人物へと、思いを馳せる。見ることは眼差しを共有することをであり、それを追体験することで…

加茂昂 境界線を吹き抜ける風

LOKO GALLERY、2019年4月26日~6月1日現代作家画廊個展鑑賞日:5月29 日(水) 人は存在する場所について無自覚ではいられない。そしてまた、存在する場所に縛られるだけでは生きていけない。その場に立ち、また自由であることが求められるとしても、そんな…

森本太郎 呼応するインテリア

GALLERY TAGA 2、2019年5月9日~6月4日現代作家画廊個展鑑賞日:5月24日(金) 目の前にあるもの。例えば花瓶に挿した花。視線は花が置かれている状況を包み込み、存在するなにものかとして、と同時に空間として、把握する。その状況は世界の一部分にしか過…

戸谷森展

トキ・アートスペース、2019年5月13日~5月19日現代作家画廊個展鑑賞日:5月14日(火) 場がある。水平方向に拡がる場。そこから垂直方向へと向かう力が発生する。その力が何を目指すのか?その到達点は定かではない。力が働く。場を持ちあげる場合は、山と…

渡部未乃 | FORM

GALLERY MoMo Projects、2019年4月23日~4月28日現代作家画廊個展鑑賞日:4月26日(金) わたしの周りを取り囲むさまざまなものたち。植物、動物、建築物。それらの間には、空間という名の空気が充満している。わたしが世界を観るとき、わたしは空気を観てい…

絵と、 vol.5 中村一美

ギャラリーαM、2019年1月26日~3月23日現代作家画廊個展鑑賞日:3月13日(水) 世界をどのように見るかは、どこに視点を設定するかによって、大きな枠組みが決まる。枠組みが先か、視点が先かは、あまり重要でないとする。結果としてそれは混交した姿として…

イケムラレイコ 土と星 Our Planet

国立新美術館、2019年1月18日~4月1日 現代作家公立館回顧展、国際巡回、共催:バーゼル美術館 鑑賞日:2月18日(月) 土に還る。ゆっくりと。溶けて朽ちていく。土と同化し、私は全体となる。背中を風が駆け抜け、雨水が体に浸み込んでくる。野に火が放たれ…