富山県美術館、2019年11月1日~12月25日
現代作家公立美術館回顧展、単独開催
鑑賞日:12月20日(金)
形象は、計らずも色彩を纏う。影であれ、輪郭であれ。色彩は形象に即して発生してしまう。色彩を召喚しないことの不可能性。その原理を確かめるために、形象の発生を確認しなければならない。形象を産み出す物質は、まず、その色彩のみを写しとるために形作られ、次第に物質そのものの変形が色彩と等価となり、さらに物質と色彩は同一のものとなる。色彩を発生させるために、物質は創造される。その極薄い層のなかの起伏として現れる形象は、色彩=物質の自律的な反応の結果としてある。その操作の主体は、物質とそれが拡がるであろう場の設定と、物質の選択によって、自らの身体の振る舞いを構造化する。その速度も物質の変化に沿うものとなっており、左右に上下に素早く羽撃く。重力からの解放を求めて。画面に現れた形象はそのような操作の主体の動きの影であり、物質自身の意思でもある。主体は物質とその動きのなかに埋没して、極薄い層の深奥から、こちら側を見ている。