甲南学園ゆかりの作家たち 長谷川三郎と菅井汲 抽象への眼差し

BBプラザ美術館、2016年4月5日〜6月5日
近代洋画家二人展
鑑賞日:4月15日(金)

絵画が発生する地点を探求するためには、絵画の成立を疑わなければならない。成立しないことを前提に、しかし永遠の発生という原初を求めるのではなく、絵画が絵画として明確に発生する瞬間を、描く。描かれるものは、形象ではなく色彩となる。しかし、色彩は形象を伴う。そのために形象は単純化され、形象を視覚的に再現するための技巧は排除されていく。ものが存在する空間も形象の一部であるため、再現的ではない色彩の領域へと写し換えられる。色彩は決して色彩そのものにはならない。光はただ光なのではない。光が形象にあたり反射した結果として色彩が発生することと、画布に絵具を乗せ、光が反射して色彩が発生することとが、同じシステムでなければならない。形象は抽象化され、絵具が使われないとしても、形象の反射の結果として絵画が発生することは変わらない。その反射の距離と差異を測るために二本の柱はある。

画・論=長谷川三郎 (1977年)

画・論=長谷川三郎 (1977年)