ブランクーシ 本質を象る

アーティゾン美術館、2024年3月30日〜7月7日

海外近代巨匠作家個展、自主企画単独開催。共催:朝日新聞社

鑑賞日:4月28日(日)

 

対象が存在する。確かに、目の前にある。それを写し換えなければならない。物質を別の物質に。存在を別の存在に。縮尺も変える。それは物質の変化に比べたら些細なことだろうか。そんなことはない。物の大きさが意味を発生させる。だから、この両の掌が作り出す空間に収まるように。片手で作るのではなく、両手で掴み取るように、その形は出来あがっていく。止まっているもの、動いているもの。止まっているものは死の仮面を被り、その下に煌めく生を宿している。動いているものは、その動きは仮象であり、死を内包している。いや、すべては死を内包しているともいえよう。その死を永遠のものとするために、死の居場所が必要となる。まるで生きているかのように。思い返せば人類は古代より、そのように死者を弔ってきた。現代では生きる者を死者に扮して、永遠の命を与えなければならない。それは時間の概念では正反対のことが起きている。同じ一瞬でもその時間の意味は違う。そこで私はその時間の混乱を収拾するために、時間の受け皿としての台座を作り続ける。