2014-01-01から1年間の記事一覧

小林孝亘展―私たちを夢見る夢

横須賀美術館、2014年11月15日〜12月23日 現代作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:12月10日(水) 私が世界のなかに存在しているという私だけの実感をどのように世界に伝えたらいいのだろう。私の言葉は届かない。私の姿も誰も見ていない。しかし、私は世界…

ジョルジョ・デ・キリコー変遷と回帰ー

パナソニック汐留ミュージアム、2014年10月25日〜 12月26日 近代海外物故作家回顧展、共催:朝日新聞社、企画協力:ホワイトインターナショナル 鑑賞日:12月9日(火)オリジナリティなんてありえないことがわかっているから、過去を参照する。参照すべき過…

伊東豊雄展 台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡2005−2014

ギャラリー間、2014年10月17日〜12月20日 現代建築家個展 鑑賞日:12月5日(金) 人が環境を作り出し、人が環境に作られてゆく。表現というものが、環境を操作することで、人に作用することを目的とし始めたのは、いつか。人に作用するために洞窟のなかで表…

リー・ミンウェイとその関係展

森美術館、2014年9月20日〜 2015年1月4日 現代海外作家個展、単独開催 鑑賞日:11月29日(土)私とあなたは別の人格を持ち人生を歩んできたから、私が考えていることも、伝えようとしていることも、分かり合うことはできない。私もあなたのことはわからない…

堀浩哉 起源

多摩美術大学美術館、2014年10月18日〜 11月9日 現代作家個展、退官記念単独開催 鑑賞日:11月7日(金)描くことについて考察するために描く。描くことについて問い直すために描く。私の腕はなぜこのように動作し絵具を紙の上に塗りつけるのか。繰り返し繰り…

赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで

千葉市美術館、2014年10月28日〜 12月23日 現代作家回顧展、美術館連絡協議会、公立館共同企画巡回 鑑賞日:10月29日(水)観察をする。見過ごしてしまいがちのものを見過ごすことができず、かえって気になり、観察をする。もしくは、あまりにも見ることがで…

野村和弘展

gallery21yo-j、2014年10月2日〜 10月19日 現代作家ギャラリー個展 鑑賞日:10月10日(金)行為を変換する。芸術表現という行為を、どのレベルを変換するのか。無為、無益な、奇跡的なラッキーが舞い降りることがある労働。プログラム設定後の半自動的な所作…

磯崎新 12x5=60

ワタリウム美術館、2014年8月31日〜 2015年1月12日 現代建築家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:10月5日(日)関係性のなかにか存在しない私の実体は、断片的な情報の集合体。その情報も他の情報との関係性のなかで、情報としての価値を持つ。情報の関係のあ…

種村季弘の眼 迷宮の美術家たち

板橋区立美術館、2014年9月6日〜 10月19日 現代ドイツ文学者回顧展、自主企画、共催:美術館連絡協議会 鑑賞日:9月20日(土)美術はかたちを組み合わすことで作られた言葉だから、そのかたちとかたちに込められた想いと、そこで発生する物語をもう一度読み…

大室佑介 露台|バルコニー

秋山画廊、2014年9月8日〜9月20日 現代建築家個展 鑑賞日:9月8日(月) 空間を空間として認識する。ある場所を、ある所を、その手付かずの、手を入れられることを前提とした、六方を囲われた空間を、操作し、かつ、我がものにしない。その手の痕跡は、空間…

泥象ー鈴木治の世界

東京ステーションギャラリー、2014年7月26日〜8月31日 現代物故作家回顧展、4館巡回、共催:日本経済新聞社 鑑賞日:8月28日(木) 虚ろであることを宿命づけられたもの。表面は表面にとどまり、フォルムを描くも、その実体を持たない。表面こそが実体である…

田淵安一展―知られざる世界

神奈川県立近代美術館鎌倉、2014年7月5日〜9月15日 現代物故作家回顧展、収蔵品展 鑑賞日:8月9日(日) 祖国を離れて祖国を想う。誰しも同じ想いにふけり時間を過ごすことだろう。そして彼の地で祖国との違いを分析する。いずれも同じような大地に同じよう…

ジョージ・ネルソン展―建築家・ライター・デザイナー・教育者

目黒区美術館、2014年7月15日〜9月18日 近代物故デザイナー個展、ヴィトラ企画国際巡回。 鑑賞日:8月5日(火) 生活は不必要なものが溢れているほど、混乱しているか。そこに必要なものは秩序か。美意識か。生活の基盤を問うことはない。世界への視線をずら…

戦後日本住宅伝説―挑発する家・内省する家

埼玉県立近代美術館、2014年7月5日〜8月31日 現代建築テーマ展、公立館4館共同開催。共催:美術館連絡協議会 鑑賞日:8月2日(土) 壁は何のために存在するのか。外部と内部の区分けのためか。内部のさらなる区分けのためか。一つの塊としての単位であり、複…

佐藤時啓 光―呼吸

東京都写真美術館、2014年5月13日〜7月13日 現代作家個展、自主企画単独開催。共催:美術館連絡協議会 鑑賞日:6月19日(木) 火を手にした人類が、生活を一変させ、火を敬い恐れ管理し、しかし、操られてきた。人はいつ光を手に入れたのか。暗い洞窟、植物…

ルドルフ・シュタイナー展 天使の国

ワタリウム美術館、2014年3月23日〜 7月13日 近代海外物故思想家回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:7月10日(火)身体と、身体を取り巻く空気と空間の接点は皮膚であり、感覚であり。物理的に触れることはなくとも、精神的に触れることはできる。感覚を知覚…

ジャン・フォートリエ展

東京ステーションギャラリー、2014年5月24日〜7月13日 現代物故作家個展、3館巡回 共催:東京新聞 鑑賞日:5月23日(金) 描くことに疑問を持つ。輪郭は色彩は対象を捉えているのか。対象の何を捉えているのか。絵画とは何を描くものなのか。見ていないもの…

立ちのぼる生命 宮崎進展

神奈川県立近代美術館葉山、2014年4月5日〜6月29日 現代作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:5月7日(水) 大地を大地としてあらしめるために、その地を踏みしめる無数の影が。影は物体として大地の一部となり、蒸気となって大地から遊離し、風とともに消え…

袴田京太郎展――人と煙、その他――

平塚市美術館、2014年4月19日〜6月22日 現代作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:5月6日(火) 形作ることを望みながら、その形というものに対する不信。世の中のあらゆるものに形があるというのに、そして新たな形を作ることなど非常に容易いはずなのに、形…

没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖

東京都写真美術館、2014年3月4日〜 5月6日 近代物故作家回顧展、公立館2館共同企画巡回、共催:美術館連絡協議会 鑑賞日:4月24日(木)技術の革新は、生活の革新であるとともに認識の革新。技術の習得は、未知への挑戦とともに自己の世界観の拡張。その革新…

山本糾 光・水・電気

ギャラリー・ハシモト、2014年4月18日〜5月17日 現代作家個展 鑑賞日:4月22日(火) 反射するものと吸収するもの。動くものと動かないもの。動いているはずの物体が静止しているかのように、影として吸収され定着する。広い空を、文字通り縦横無尽に、埋め…

Air Pocket 戸谷森

秋山画廊、2014年4月21日〜5月3日 現代作家個展 鑑賞日:4月22日(火)道を歩いていて、不図、耳に入るさまざまな音。目にうつるさまざまな物。知ら知らずのうちにそれらとの距離を測り、物理的な距離も、心理的な距離も、自分の速度に合わせ関係性を築き、消…

石山修武公開シンポジウムーーこれからのこと

早稲田大学建築学科石山修武研究室、2014年3月30日 退官記念シンポジウム 会場:早稲田大学大隈講堂 鑑賞日:2014年3月30日(日)物事が振動を始めると熱が発生し、振動と熱とが周囲へと伝播する。振動する主体が振動を持続するためには、内部に大量の燃焼物…

イメージの力ーー国立民族学博物館コレクションにさぐる

国立新美術館、2014年2月19日〜6月9日 国立2館共同企画巡回展 鑑賞日:3月24日(月)必要に迫られ人が作り上げてきたかたちは、想定した最終の形態よりも、その機能が優先される。寄せ集めの形態の部分部分に意味を付与し、全体の機能を強化する。その際かた…

中村一美展

国立新美術館、2014年3月19日〜5月19日 現代作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:3月24日(月)空間の在り処を知るために空間を発生させる構造を手に入れようとする。矩形を斜めに区切れば、その画面に何が生まれるのか。直線と重ね合わせればどのように変化…

柳瀬正夢 1900-1945ーー時代の光と影を描く

神奈川県立近代美術館葉山館、2014年2月11日〜3月23日 物故近代作家個展、公立館3館共同企画 鑑賞日:3月22日(土)目の前のさまざまなものにあたり反射した光が目に入る。その反射と認識の仕組みを次々と解き明かしていくかのようなルールに心惹かれたとき、…

磯崎新ーー都市ソラリス

NTTインターコミュニケーションセンター、2013年12月14日〜2014年3月2日 現代建築家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:3月1日(土)人が存在しない都市の姿が、人の擬態としての構造物によって立ち現われる。より正確にいえば、人という存在は、仮の物理的な肉…

あなたの肖像ーー工藤哲巳回顧展

東京国立近代美術館、2014年2月4日〜3月30日 物故現代作家個展、公立館3館共同開催 鑑賞日:3月1日(土)芸術作品を創作するのではなく、自己を再創造する。創造され目に前に異物となって現れた自己は、わたしであって、わたしでない。さらに、わたしを再創造…