戦後日本住宅伝説―挑発する家・内省する家

埼玉県立近代美術館、2014年7月5日〜8月31日
現代建築テーマ展、公立館4館共同開催。共催:美術館連絡協議会
鑑賞日:8月2日(土)

壁は何のために存在するのか。外部と内部の区分けのためか。内部のさらなる区分けのためか。一つの塊としての単位であり、複数の個別の集合体である家族のための住居家族が解体不可能な時代の交換不可能な住居。都市のなかにあって、その歴史的なスパンでは仮設的ともいえる短い時間を、個人にとっては全時間となるために永遠と化するために。土地の所有と空間の所有と個人の自律を弁別し、住居は壁を立て、壁を取り払う。
光と風が室内を満たし、私はそのなかにあって守られている。空間は機能を持ち、機能はその都度変化する。都市のなかで住居の機能は変化しない。都市のなかで人が活動するということと、住居のなかで生活するということの、積極的な分離。シェルターは風と光に対して開かれ、他者に対して閉じる。
シェルターの内部の区割りと機能性は、都市のアナロジーとしては機能しない。壁を問い敷地を問い、あらかじめ失われた開放と向き合うために、さらに個別の小さい空間で夢を見る。

戦後日本住宅伝説 ─挑発する家・内省する家

戦後日本住宅伝説 ─挑発する家・内省する家