佐藤時啓 光―呼吸

東京都写真美術館、2014年5月13日〜7月13日
現代作家個展、自主企画単独開催。共催:美術館連絡協議会
鑑賞日:6月19日(木)

火を手にした人類が、生活を一変させ、火を敬い恐れ管理し、しかし、操られてきた。人はいつ光を手に入れたのか。暗い洞窟、植物を重ねた小屋に、それ以前に、雲の切れ間から光の筋が刺し込む。その光はまだ人類のものではない。光を手にし、その光は存在の証となった。火が生存の証となるのに対して、光はその瞬間の存在の影となる。
点在する私はどこにもいない。あらゆる場所に、生存の痕跡を遺さず、立ち止まり消えてゆく。本当にそこにいたのだろうか。光の集合のなかに影を作ることは容易い。それでもなお、生きることはせず、その場に存在した証として、光は踊る。そして消える。

光―呼吸

光―呼吸