2016-01-01から1年間の記事一覧

宮崎啓太「逆さのバベル」

LOKO GALLERY、2016年11月18日〜12月18日 現代作家画廊個展 鑑賞日:12月8日(木) 澱んで混迷した世界に異形の花が咲く。そこではその本体と同一の遺伝子を持っているとは想像もつかないような、形態が現れ、結合する。本体の出自に則り、本体との連続性を…

岡崎乾二郎展

Takuro Someya Contemporary Art 、2016年11月10日〜12月11日 現代作家画廊個展 鑑賞日:12月8日(木)景色を前にして沈黙し手を動かす。目の前に拡がる光景をその形態の属性と私からの距離をルールとして切り取り、さらにその色彩を取り出して変換し、再配…

遠藤利克 寓話Ⅴ−鉛の柩

秋山画廊、2016年12月5日〜2017年1月26日 現代作家画廊個展 鑑賞日:12月8日(木)身体を水平に横たえ大地と一体化し、時を待つ。自分の身体の表皮の形態を保つ力が緩いでいき、内部は空洞として意識されるようになる。皮膚の表面を流れる空気は冷たい。身体…

柳根澤展

gallery21yo-j、2016年11月12日〜12月4日 現代海外作家画廊個展 鑑賞日:11月27日(日)空間を描くためにはいくつかの方法があるが、絵画の約束事として制作者と鑑賞者の共通理解となっているものは、空間を描くことはない。空間のなかに配置された事物の関…

伊藤隆介 「天王洲洋画劇場」

児玉画廊 | 天王洲、2016年10月29日〜12月24日 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月11日(金)リアルをリアルと感じるために仕掛けを施す。その仕掛けはリアルからはほど遠いものであるように見えるが、その仕掛けこそリアルとなる。リアルと現実は別のものなので…

没後110年 カリエール展

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、2016年9月10日〜11月20日 海外物故近代画家回顧展、共催:朝日新聞社、企画協力:IS ART INC. 鑑賞日:11月3日(木・祝)空間から現れるものは物質でしかない。世界のあらゆる事象の根源もまた物質でしかない。現…

升谷真木子個展 “Whose sleeve?”

S.O.C. Satoko Oe Contemporary、2016年10月1日〜11月5日 現代作家画廊個展 鑑賞日:11月2日(水)あるものがかたちを変え、表と裏が入れ替わり、回転し、複数の状態であり、しかしそれは一つであることをやめず、空間に散りばめられていく。同じものの現れ…

鈴木沙也香展「SHINE」

第一生命ギャラリー、2016年10月14日〜11月25日 現代作家個展、メセナ活動 鑑賞日:11月2日(水)仮想の空間を創出することは意外に容易く、隣合う色面同士が自ずと空間を発生させる。そこに平面であることを前提とした壁紙や窓を挿入することで、平面として…

トーマス・ルフ展

東京国立近代美術館、2016年8月30日〜11月13日 海外現代作家回顧展、共催:読売新聞社 国立公立美術館2館巡回 鑑賞日:10月1日(土)写真が情報として流通する。それは写真に写された事物が、風景が人物が物が情報として流通するということになる。それは写真…

仮説と星屑 諏訪未知 保坂毅

A-things、2016年8月11日〜10月2日 現代作家画廊二人展 鑑賞日:9月25日(日)ある立体物が直線で構成されていて、なかに空洞を孕み、6面以上の面を持つ時、その面と面はどのような関係にあるのか。ある平面に2色以上の色彩が塗り重ねられた時、その色彩と色…

杉本博司 ロスト・ヒューマン

東京都写真美術館、2016年9月3日〜11月13日 国内現代作家個展、自主企画単独開催 鑑賞日:9月22日(木・祝)光はそこかしこにある。眼に映る、そしてレンズを通す光は、多くの場合、事物の反射でしかなく、事物はその表面を反射しているのか、それとも事物の…

森夕香・戸張花展

LOKO GALLERY、2016年9月7日〜9月23日 現代作家画廊二人 鑑賞日:9月21日(水)生命が生命であるために、分裂し増殖しかたちを変える。その変形の方向性は遺伝子に組み込まれているのだが、遺伝子にさらなる太古の情報が残っており、また、遺伝情報もまた変…

村井進吾展「再封」

ギャルリー東京ユマニテ、2016年9月12日〜10月1日 現代作家画廊個展 鑑賞日:9月21日(水)目の前にある物体の持つ時間のなかに自分を刻み込む。その目に前にあり深く沈みこんだ時間と自分の時間は決して交わることはなく、その時間を聖域として扱うことも理…

川島清 彫刻の黙示 路傍・淵・水量

川越市立美術館、2016年7月23日〜9月11日 国内現代作家個展、公立館2館巡回 鑑賞日:9月3日(土)眼に見えない時間を、時間が作り上げた形を換喩として、ある場所に置く。その置かれた時間は、それだけでは時間にならないので、やはり時間が築きあげた素材を…

高木修展 特異な空間へ

栃木県立美術館、2016年7月9日〜9月22日 国内現代作家回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:8月11日(木・祝)仮に私の体を基点にして世界を測る。しかし私の体は基点になるための要素を満たしていないため、複数の体を組み合わせて、世界を測る。測られた領域…

村上早展

コバヤシ画廊、2016年7月25日〜8月6日 現代作家画廊個展 鑑賞日:8月1日(月)経験を物質に換えること。経験は時間的なものであり、体感的なものであるため、言語化しない時は、記憶としては曖昧となり、いずれ薄れていく。しかし、言語化されないからといっ…

安田佐智種「VOID」

ベイスギャラリー、2016年7月4日〜7月30日 現代作家画廊個展 鑑賞日:7月21日(木)重力がある。重力があることは自明とはしていても、重力に抗うことを日常的に行うのは困難だ。そのなかで自明である重力を問うことなくて、表現は行われる。重力を問うこと…

八反田友則展

ギャラリイアートポイント、2016年7月18日〜7月23日 現代作家画廊個展 鑑賞日:7月21(木)絵画というものはなんであれ、浅い奥行きを持った物質でしかない。そこに何が描かれているかの問題ではなく、描かれたものによって何が発生するかの問題でもなく、た…

和田昌宏個展 「Rμv-1/2gμvR=(8πG/c^4)Tμv」

LOKO GALLERY、2016年7月8日〜8月6日 現代作家画廊個展 鑑賞日:7月21日(木)祈りに似た行為を何かに捧げる。それによって私は世界と結びつく。その行為は、私以外の世界を現したものであるから、私の理解と手を施しようのない物体とともにあるものでなくて…

サイ・トゥオンブリーの写真ーー変奏のリリシズムーー

DIC川村記念美術館、2016年4月23日〜8月28日 海外物故現代作家テーマ展、自主企画単独開催 鑑賞日:7月20日(水)絵画とは結局、画面の構造ではなく、描く行為でもなく、視覚的な効果を求めるものでもなく、その像の現れこそが問題でしかないと言い切ろう。…

二艘木洋行 大ポスター展

TALION GALLERY、2016年5月26日〜6月23日 現代作家画廊個展 鑑賞日:6月15日描かないということを描くために、描くということ以外のことを描くしかない。しかし、それもまた描くということの範疇でしかありえないために、描かないということを、描くという制…

声ノマ 全身詩人、吉増剛造展

東京国立近代美術館、2016年6月7日〜8月7日 現代詩人回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:6月15日(水) 私は私自身を記録する。私が私であるために。私が私であることを確認するために、外に出た私を記録して、時間を取り戻す。繰り返される私は、繰り返して…

地主麻衣子「新しい愛の体験」

Hagiwara Projects、2016年5月28日〜6月25日 現代作家画廊個展 鑑賞日:6月8日(水)あなたと私の距離が大切だから、距離を確かめるために対話をする。しかし、距離を保つ必要があるから、対話によって私とあなたの距離を縮めることはない。コミュニケーショ…

亀井梓 Cycle

Gallery Momo Ryogoku、2016年6月4日〜7月2日 現代作家画廊個展 鑑賞日:6月8日(水)世界の内側に閉じ込めていたものが溢れ出てくる。各所から、隙間なんてなかったはずなのに、いつの間にか内と外の境がなく、一体化したかと思うと、内側の世界が外側を支…

園子温展 ひそひそ星

ワタリウム美術館、2016年4月3日〜7月10日 国内現代映画監督個展、自主企画単独開催 鑑賞日:6月1日(水)影のなかに眩い光があり、そこにある現実感を伴い、さらに時間を超越した世界が存在しうるのだから、今、目の前で起きている現実の数々は、そこで起き…

若林奮 飛葉と振動

うらわ美術館、2016年4月23日〜6月19日 国内物故現代作家回顧展、共催:WAKABAYASHI STUDIO、読売新聞社、美術館連絡協議会 公立館5館巡回 鑑賞日:5月25日(水)人が動物が植物が物が動く。そこでは距離と時間が発生する。距離と時間の関係は偶発的で恣意的…

篠原猛史展

ギャラリエ アンドウ、2016年5月10日〜5月24日 現代作家画廊個展 鑑賞日:5月18日(水)指先から掌から形が生まれる、像が発生する。それらをよく観察すると、すべて言語だった。言語を使用せず。色彩とフォルムで構成するのだが、それは言語の別の現れでし…

Blur/ブラー

ARTFACTORY城南島、2016年4月29日〜5月13日 現代作家オルタナティヴスペース二人展 鑑賞日:5月12日(木)目の前にあるものを確かめるために写し取る。かたちを写し取る。影を写し取る。かたちが作り出すかたちと影を写し取り、かたちが発する光を写し取る。…

ヒュー・スコット=ダグラス展

栃木県立美術館、2016年4月16日〜6月19日 海外現代作家個展、単独開催 鑑賞日:4月20日(水)目の前にある事物を認識するとき、その事物は言語としても現れる。その言語は、シニファンとシニフェの結びつきが曖昧なのではなく、確固として分離した物体や画像…

諏訪未知 interior

gallery21yo-j 、2016年4月7日〜4月24日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月16日(土)ものが存在するということの神秘とその不可知さをかたちに置き換えるために、そのもののかたちは再現できない。かたちというものはあらかじめあるものではなく関係性のなかに…