声ノマ 全身詩人、吉増剛造展

東京国立近代美術館、2016年6月7日〜8月7日
現代詩人回顧展、自主企画単独開催
鑑賞日:6月15日(水)

私は私自身を記録する。私が私であるために。私が私であることを確認するために、外に出た私を記録して、時間を取り戻す。繰り返される私は、繰り返しているのに常に変化し、繰り返されているから、何も変わらない。私の中からほとばしる私を、私は見つめる。語る。記録する。
より大きな力が私を襲った時、私は変わるだろうか。より小さなものたちに大きさを見ていたわたしは、大きな力の前で無力ではいられず、さらに大きな力を発揮する。暴力は繊細によって生まれる。暴力を生み出す繊細を鎮めるために、私はその繊細と暴力を記録する。世界の隙間に入っていくために。その隙間のなかで世界は振幅し発生する。記録しなければならない。肉体は滅びても、その世界の発生は記録として遺る。