2012-01-01から1年間の記事一覧

古道具、その行き先―坂田和實の40年―

渋谷区立松濤美術館、2012年10月3日〜11月25日 現存個人眼展、単独開催 鑑賞日:11月23日(木)道具もまた旅をする。道具の道具としての使命を、機能を、役割を、使用者との交流の末、まっとうし、あるいは、目的半ばで、旅に出る。道具としての職能を持って…

中原浩大 Drawing 1986-2012 コーちゃんは、ゴギガ?

伊丹市立美術館、2012年9月22日〜11月4日 現代作家個展、単独開催 鑑賞日:10月28日(日)芸術を表現することが芸術表現である。表現した結果が芸術作品と化するのではない。また、芸術家の行為が突如神性を帯びて芸術が産みだされるのでもない。芸術という…

平櫛田中展

小平市平櫛田中彫刻美術館、2012年9月9日〜10月21日 共催:平櫛田中展実行委員会 近代物故作家回顧展、3館巡回 鑑賞日:9月27日(土)彫刻の素材としての切りだされた木材のなかにどのようなフォルムが秘められているのか。それはかつての木の姿の層でしかな…

国立民族学博物館コレクション ビーズ・イン・アフリカ

神奈川県立近代美術館 葉山、2012年8月4日〜10月21日 共催:国立民族学博物館 国内他館所蔵民俗資料展、単独開催 鑑賞日:10月10日(水)太陽の光を大地が吸収する。草木も吸収する。動物も吸収する。そして、人の肌も吸収する。日差しはあまりにも直接的で…

記憶の島―岡本太郎と宮本常一が撮った日本

川崎市岡本太郎美術館、2012年7月21日〜10月8日 物故作家グループ展、単独開催 鑑賞日:9月19日芸術はすべての人のためのものであり、すべての人が自分のおもむくままに自由に作りだせるから、誰のものでもない。誰のものでもないから、誰も見向きもしない。…

「具体」―ニッポンの前衛 18年の軌跡

国立新美術館、2012年7月4日〜9月10日 戦後美術動向検証展、単独開催 鑑賞日:8月10日新たな道を切り拓く。絵具は絵具ではない。キャンバスはキャンバスではない。あれも芸術である。これも芸術である。すべての素材は芸術を発生させるものとして手中にある…

与えられた形象 辰野登恵子 柴田敏雄

国立新美術館、2012年8月8日〜10月22日 現代作家二人展、単独開催 鑑賞日:8月10日かたちはどのように産みだされるのか。誰かが引いた線。その線にどんな意思があろうと、その線によって作られた地と図の関係と、かたちの発生は、線を引いた人間から離れ、新…

舟越直木展

ギャラリーせいほう、2012年7月25日〜8月7日 現代作家個展、ギャラリー個展 鑑賞日:8月6日(月)その人物を彼/彼女と同定する外見上の個性の在処が、その人の存在と結びついているとする。その場合、その個性は外見の特徴ではなくなる。ある人から外見を取…

トーマス・デマンド展

東京都現代美術館、2012年5月19日〜7月8日 海外現代作家個展、単独開催 鑑賞日:7月5日(木)ある物体を別の素材で実物大に再現する。形体は写し取られる。表面の模様は、それに近い色調に代わる。そのテクスチャーは均一になる。その均一さは、選択された素…

川内倫子展 照度 あめつち 影を見る

東京都写真美術館、2012年5月12日〜7月16日 現代作家個展、単独開催 鑑賞日:6月30日(土)私は世界のなかの不完全な一部分だから、世界を断片的にしか見ることができない。私が見ているものも不完全な一部分でしかないことがわかっているから、その部分をよ…

マックス・エルンスト―フィギュア×スケープ

横浜美術館、2012年4月7日〜6月24日 共催:「マックス・エルンスト―フィギュア×スケープ」展実行委員会 海外物故作家個展、3館巡回 鑑賞日:6月11日(月)表面の厚みは測れるだろうか。表面を物として把握できるだろうか。絵画が厚みを持たない表面のみでで…

草間彌生 永遠の永遠の永遠

埼玉県立近代美術館、2012年4月14日〜5月20日 共催:朝日新聞社 現代作家個展、3館巡回 鑑賞日:5月14日(月)私が増殖する。強烈に独立した絶対的な個であるにも関わらず。私は反復する。私は空間に充満する。私は私であるから手を結び、網目となって空間を…

田中敦子―アート・オブ・コネクティング

東京都現代美術館、2012年2月4日〜5月6日 現代物故作家個展、国際巡回展 鑑賞日:5月3日(木)円と円を結ぶ線。無数の円と無数の線。線によって結ばれた円と円に関係が発生する。その関係は線で結ばれていることしか伝わってこない。関係があるから線が引か…

イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに

森美術館、2012年2月4日〜5月27日 現代海外作家個展、単独開催 鑑賞日:4月16日(月)歪んだ肉体から神経器官が露出する。赤く染められ、皮膚の保護が失われた肉塊は神経が露出している。その痛々しさは、変型や結合による異形さゆえではなく、神経の露出に…

ジャン=ミシェル オトニエル:マイウェイ

原美術館、2012年1月7日〜3月11日 現代海外作家個展、単独開催 鑑賞日:3月10日(土)階段を上がった壁面に掛けられたリネンのローブは光を反射しない。それは静かに吸収する。そして何も写さない。白いリネンで纏うのは内部の穢れ。白いリネンで守るのは外…

難波田史男の15年

東京オペラシティ アートギャラリー、2012年1月14日〜3月25日 物故作家個展、単独開催 鑑賞日:1月15日(日)紙の表面にペンを滑らす。その接点に現れるインクの跡、滲み。次第に形を成し、崩れる形体。その現れを生成と呼ぶのだろうか。それはある形体、フ…