与えられた形象 辰野登恵子 柴田敏雄

国立新美術館、2012年8月8日〜10月22日
現代作家二人展、単独開催
鑑賞日:8月10日

かたちはどのように産みだされるのか。誰かが引いた線。その線にどんな意思があろうと、その線によって作られた地と図の関係と、かたちの発生は、線を引いた人間から離れ、新たな意味を持ち始める。意思がかたちに作用できないとうことを自覚したとき、新たな線はどのように引かれるのか。また他人の線は、どのように見え始めるのか。かたちはかたち自身の意思を持って、存在する。かたちが横たわる、あるいは立ち上がる図もまた、地と図の逆転から、ネガとして機能し、こちらもかたちの意思を持つ。この地と図の押しと引きを、かたちからみるのか、地からみるのか。かたちの成立の起源について思いを巡らすか。かたちが産まれるフィールドについての考察はいかになされているのか。フィールドは自明ではない。かたちの優位もない。ともに最終的には一体化せざるをえない、共犯関係ともいえない癒着のなかの、濃淡に目を向けるよりも、そのフィールドを疑うことでしか、かたちの起源にはたどり着かない。