伊藤正展

Gallery SU202173日〜718

現代作家画廊個展

鑑賞日:710日(土)


土を掴み、選ぶ。手の一部となり、手から自ずと離れる、そのような土を選ぶ。実際のところ土はかたちを欲してはいない。土は土でありさえすれば良い。そこに手を加えるのだから、土のいうことを聞かなければならない。しかし、土に希みはない。それでもかたちはできあがってくる。土に聞くことで。土は火に聞けという。そうだろう。火は土と対話をする。この両者が決定を下すことに異論はない。むしろこの両者のみで世界を作り、私は介在したくない。しかし、それでは元のままだ。私が手にしているこの土は、もともと火によって作られたものだったのだから。それでも私が介在するとしたら、なにができるのか。私のための器物を作ることではなく、器物であることは仮の姿としての、土との関わりをどのようにます持つことができるのか。土に手を入れ握りしめる。私の握る力が、土に移る。だから握る。開いた手のなかにかたちがある。それは私が作ったのではなく、土が自ら作ったかたちとしてある。