宮本隆司 いまだ見えざるところ

東京都写真美術館2019514日~715

現代作家美術館個展

鑑賞日:612日(水)


何に眼差しを向けるのか。浮かびあがった像を前にして、その像に眼差しを向けた人物へと、思いを馳せる。見ることは眼差しを共有することをであり、それを追体験することでもある。では、写真家は何を見て、写真を見る人は、何を見ているのか。写真機という道具を手にして、何ものかに眼差しを向ける。写し出された像がすべてではなく、フレームアウトした領域もまた世界の一部であったはずだ。写真家は世界の一部として存在する自分を、世界の一部と対応させる。そこには、世界の一部との眼差しの交換がある。その間に介在する写真機は何をするのか。世界を切り取り外在化させるのか。世界の一部をサンプルとして抽出し培養複製するのか。培養され複製された世界の一部は、もはや世界とは切り離された異物として存在する。それは世界ではない。