渡辺佑基 ねじれの回廊

LOKO GALLERY2019712日~810

現代作家画廊個展

鑑賞日:724日(水)


描かれた画面から、作者が目にし絵具に置き換えたであろう事物を想像する。その、意識もしない程の短い時間において同定された事物は、見るものの認識のなかでは、描かれたものとほぼ同一となる。であれば、描くという作業の意味は限りなく消えて行く。それはなにかの事物を意識させるだけの信号に過ぎない。絵画はもう信号として存在することは許されてはいないので、画家は見る人の意識の時間を長く保たせるための工夫をする必要がある。もはやそれこそが絵画の制作原理ではないだろうか。見てわからないものはない見てわからないものというカテゴリーに、一瞬にして篩い分けられる。そこで、わかるけどわからないものを探すこととなる。しかし、これも結局はカテゴライズされる運命にある。カテゴライズされないためには、認識を吸い込み、メッセージにならないメッセージを発し続ける空虚を描かなければならない。