柳根澤展

gallery21yo-j、2016年11月12日〜12月4日
現代海外作家画廊個展
鑑賞日:11月27日(日)

空間を描くためにはいくつかの方法があるが、絵画の約束事として制作者と鑑賞者の共通理解となっているものは、空間を描くことはない。空間のなかに配置された事物の関係性を図式化するものであって、空間は透明な距離として不在であることが前提に存在する。その空間こそを表現するために彫刻家はかたちをそぎ落とし、また、距離を別の物体に置き換えた。画家は空間を描くことで絵画のなかでの空間は失われ、すべてが等価になってしまうことを知っているがために、空間を空間としてかたちにすることはなく、層を創りだす。しかし、空間の厚みを描き方法はある。層で奥行きを演出しつつ、図像を層の関係とは別のルールで配置し、さらに、絵の具という物質を現実に最初に目に入るものとして第三のルールで際立たせる。焦点を当てるべきところが、画面の消失点だということに規定された視線は、視点を定めるところを見出せないまま画面を彷徨い、空間の厚みのみを見ることとなる。