伊藤隆介 「天王洲洋画劇場」

児玉画廊 | 天王洲、2016年10月29日〜12月24日
現代作家画廊個展
鑑賞日:11月11日(金)

リアルをリアルと感じるために仕掛けを施す。その仕掛けはリアルからはほど遠いものであるように見えるが、その仕掛けこそリアルとなる。リアルと現実は別のものなので、仕掛けは現実に属してリアルを演出する。映し出されたリアルは、現実に属していないがために、新たな現実を創りあげる。必要なのは仕掛けだ。仕掛けは暴かれることなく、仕掛けとして存在する。その圧倒的な現実を前にして、リアルは遊離していく。だからこそ、リアルは無限に繰り返す。しかも短期間で作られたものというよりも、どうにもならないループこそが、現実であるから。ループの構造が現実である時、世界がループであることを認めずにリアルを創造することは可能なのか。現実を創造するために、いかに虚構を構築するかを問うた時に、仕掛けをみせるにではなく、仕掛けとリアルの構造を可視化する。