没後110年 カリエール展

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、2016年9月10日〜11月20日
海外物故近代画家回顧展、共催:朝日新聞社、企画協力:IS ART INC.
鑑賞日:11月3日(木・祝)

空間から現れるものは物質でしかない。世界のあらゆる事象の根源もまた物質でしかない。現象は揺れ動く。感情もまた揺れ動く。揺れ動く大気のなかで、揺れ動きながら現れる。その現れは固定される。一部分のみ。物質としてもっとも重要な部分のみが、白く、硬く、定着される。極薄の被膜のなかで、その部分のみが、硬質に輝く。その背後には、大気が舞う。無から有が生まれるのではなく、無のなかに見えなかった有を、物質の源を探す。いや、それは探すものではなく、それが現れるように、現象の揺らぎを見つめ続ける。先達はいる。そこにはもはや信仰を前提とした幻想は介入する余地はなく、現象と物質の現れがただ存在する。人はそのように存在するしかないことを、描くことで証明する。