青木聖吾「この世界を紡ぐ」

LOKO GALLERY 2020102日〜1031

現代作家画廊個展

鑑賞日:1030日(金)


世の中が影の集積でできているのは、自明だ。それは、反射光で世界が成立しているのと同じように、現実を覆うもう一つの世界があるからだ。人はそのもう一つの世界を見ようとはしない。もちろん、見ることもできるのだが、見なくても生きていける。しかし、ある時、影は現れる。どうにもならないほどの現実感を伴った物質として。それを描写するつもりはなかったのだけれども、現れてしまう。それに気づくと世界の現れが変わる。その世界を覆っているものが、世界を構成する因子でしかないことが明らかになり、身体は分裂する。身体を統辞する法則の意味が失われるからだ。分裂する身体は、なおも全体を希求する。その全体が影であることも知らず。その全体が誰かに用意された仮の器でしかないことも知らず。だから、全体は崩れ、影は濃くなる。