読書録
堀江敏幸、『ロベール・クートラスをめぐる断章群』
新潮社、2026年9月30日
商業主義的な美術業界から離れて自室でカルトの制作を続け、その小さな星々からなる世界を創造していったロベール・クートラス。第二次世界大戦をはさみ、再びパリに戻って画家になるまでにクートラスが立ち、眼差しを向けた土地を巡り、その時々にクートラスの心の内側でなにか起きていたかを読み取っていく。
「仕事というのは、出会いの瞬間までじっと待ちつづけ、見えない準備を重ねることだと後年のクートラスは語っていた。焦らずに待つ段階を経なければ、大事なものを取り逃がしてしまう。」(218頁)


