2024-01-01から1年間の記事一覧

Raum, one work, 中西夏之

YOKOTA TOKYO、2024年4月15日〜4月26日 現代物故作家画廊個展 鑑賞日:4月22日(月) 場=フィールドとは何か。本当にそれは存在するのか。目の前に概念的に空白とされるものがあって、そこに私の身体を没入させることができるのだろうか。場は誰かが設定す…

ナカムラクニオ、『大人が知っておきたい 図解 教養としての美術史』

読書録 ナカムラクニオ、『大人が知っておきたい 図解 教養としての美術史』、イースト・プレス、2024年4月23日初版第1刷 先史時代から現代まで美術史のトピックを語りつつ、短い文章のなかで時代を超えた影響関係にも言及し、今のアーティストがなにを創作…

MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~

森アーツセンターギャラリー、2024年3月15日〜6月2日 現代美術海外美術館コレクション展、主催:ICONS of Urban Art東京制作委員会。メディア共催巡回展。 鑑賞日:4月22日(月) メッセージは伝わらなければならない。共通の記号であり、共通のコードが必要…

野坂昭如『一九四五・夏・神戸』

読書録 野坂昭如、『一九四五・夏・神戸』、中公文庫、1977年11月10日発行 デザイナー・倉俣史朗が読んでいた本の一冊。太平洋戦争末期の神戸の空襲前から空襲中の出来事が、細部まで克明に描写されている。大空襲までで敗戦はあえて書かず。家庭の人間関係…

絹谷幸太展 -宇宙からのまなざし ―

√K Contemporary、2024年4月13日〜5月25日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月12日(金) 人類の誕生よりはるか以前、数億年の単位で地中で堆積し、凝縮する。そのなかでも、その凝縮にさらに圧力がかかり、できた亀裂に異物が入り、さらに凝縮する。地球の、しか…

マティス 自由なフォルム

国立新美術館、2024年2月14日〜5月27日 近代絵画巨匠回顧展、主催:国立美術館、読売新聞社。メディア共催大型展 鑑賞日:4月18日(木) 絵画は、線と色彩について語ることが多いが、重要なのはそれらの量ではないかと考える。線は抽象的で幅のない、概念と…

高田マル 「この花、ダリア、ダリア、ダリア、」

NADiff Window Gallery、2024年3月28日〜4月14日 現代作家アートスペース個展 鑑賞日:4月12日(金) 線を引く。繰り返す。消す。線を引く。繰り返す。消す。この反復行為のリズムが、心臓の鼓動とシンクロする。生み出されていくのではない。古い何かから新…

海老塚季史 " 旅と生活 "

s+arts、2024年4月12日〜4月27日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月12日(金) 何かを手に取る。そのものが何であるのかは理解している。そして、その理解以外の何かも、そのものは有しているに違いない。そこで、その手にしたものをよく見る。よく見るなかで、…

吉山裕次郎「Destruction and Creation」

ギャラリー58、2024年4月8日〜4月13日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月12日(金) 夢のなかでしか存在しない場所がある。現実のある建物や通りと似ているが、どこか異なっている。もしくはよく知っている場所に、知らない建物があるのだが、その場所の一部だと…

アブソリュート・チェアーズ

埼玉県立近代美術館、2024年2月17日〜5月12日 現代美術テーマ展、自主企画単独開催 鑑賞日:4月12日(金) 道具には定められた機能がある。かといって機能だけを求めなくてもいい。そればかりか機能とは異なった意味を付与されることがある。その意味が増殖…

佐野陽一「眩暈の岸」

GALLERY TAGA 2、2024年3月28日〜4月22日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月5日(金) 私の目の前には空間が広がっている。そこには光があり、空気があり、木々や水や人間が作った構造物など、さまざまなものが充溢している。あるとは感じにくい大気も、時には風…

秋野ちひろ展「Bake」

Gallery SU、2024年3月23日〜4月7日 現代作家画廊個展 鑑賞日:4月3日(水) こころのなかに触覚を伸ばす。自分のなかを不定形ななにかの形を掴もうとする。感触があった部分から全体像を探していくが、感覚も動いていき、全体像はあやふやになってしまう。…

中平卓馬 火―氾濫

東京国立近代美術館、2024年2月6日〜4月7日 現代物故写真家回顧展、国立美術館、朝日新聞社共催単独開催。 鑑賞日:3月26日(火) 彷徨う時になにを見ているのか。彷徨うことが自らの生の証としている時に。見たものすべてが自分自身となるというのだろうか…

生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真

東京ステーションギャラリー、2024年2月23日〜4月14日 近代物故写真家回顧展、公立私立美術館3館巡回 鑑賞日:3月26日(火) 写すということを写るということを考える。被写体として印画紙に定着された像は、写したいと願った像と、どこか違う。写したいも…

川田順造『サバンナの博物誌』

読書録 川田順造、『サバンナの博物誌』、ちくま文庫、2001年12月20日第2刷 挿画:小川待子 こうした、新しい要素のとり入れ方で気がつくのは、新しい要素が古い要素との、直観的にあきらかな機能上の類似に基づいて採用されていることである。だから新しい…

VOICE 坂本太郎展

コバヤシ画廊、2024年3月25日〜3月30日 現代作家画廊個展 鑑賞日:3月26日(火) 地表が膨れ上がる。その体積をどのように把握するか。表面積を計測しても、その量塊を把握することはできないが、その内側を見ることもできない。そうであるならば、表面を厚…

高山登

YOKOTA TOKYO、2024年2月5日〜2月22日 現代物故作家画廊個展 鑑賞日:2月19日(月) 見えているはずなのに、意識しないで目を向けないものが、世の中には多すぎる。すべてを等質に見ることは、不可能だとしても、それらは日常にありふれており、人々の生活の…

飯嶋桃代展 Sphinx―人間の台座

ギャルリー東京ユマニテ、2024年2月5日〜2月24日 現代作家画廊個展 鑑賞日:2月19日(月) 手に入れるためには、まず失わなければならない。充実を求めるために、虚ろを設る。かたちとはそれ自体で成立しているのではない。物体としても意味としても、なにか…

豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表

東京都現代美術館、2023年12月9日〜2024年3月10日 現代作家公立美術館回顧展、自主企画単独開催 鑑賞日:1月18日(木) 観察をする。対象を設定して、その対象が何ものであるかを。自分との関係性から距離を測ることはしない。自分と対象との間に起きる出来…