VOICE 坂本太郎展

コバヤシ画廊、2024年3月25日〜3月30日

現代作家画廊個展

鑑賞日:3月26日(火)

 

地表が膨れ上がる。その体積をどのように把握するか。表面積を計測しても、その量塊を把握することはできないが、その内側を見ることもできない。そうであるならば、表面を厚みとしてとらえて、その厚みのなかに体積を埋設すればいい。そのためには地表を別のものに置き換えなければならない。さらに別のものの表面もまた、そのものの質感を破棄するために、さらなる別物へと置き換えなければならない。そのように二重に隔てられた表面ではあるのだが、さらにはその背後には空洞を孕んでいるとしても、その物体は塊として立ち上がる。その強固な表面をさらに物体として際立たせるために、異物を異物として身にまとう。加えて、表面に厚みがあることを示すためにも、視線は跳ね返さなければならない。硬質な表面によって視線を透過させないことで、物体は存在する。いくつもの部分の複合体として。塊であることを視覚的に拒否することで、塊を意識させる。そして、その地表は膨らむと同時に硬化していく。