箕輪亜希子<16:51-21:03>

gallery21yo-j2021617日〜74

現代作家画廊個展

鑑賞日:625日(金)


歩く。目的の場所に行くために。目的もなく、ただ彷徨う。歩く。つま先に、踵に、視線に、異物を感じる。それは異物と呼ぶべき何か。ある交感があったからこそ、その存在に気づく。それは石。数千年前、あるいは数万年前に地中奥深いところで生成された物体。どういうわけか、そしてコンクリートの上でなら尚更、どこかから運ばれてきて、そこに在る。ただ在る。在ることに意味はないが、在るという事実は揺らぎようがない。その時間に比べたら、人間は取るに足らない存在でしかないうえに、数万年後の石の組成物にもならないのかもしれない。しかし、石と私は出会う。出会うしかない状況のなかで。その時間は、誰を基準にすべきなのか。何をもって計れば良いのか。石の基準に人間を合わすことはできない。何で人間を基準にして、短い単位で物事を把握せざるを得ない。それはそれで大地の営みの一部と了解するのか。それとも、その時間を外れた行為として、将来という幻想に対する営為を謳歌するのか。そのどちらでもないことを求めつつ、私の身体は石と出会う。私が存在するということは、石が在るということだから。