鈴木繭子 スプール

秋山画廊、2015年4月20日〜5月2日
現代作家画廊個展
鑑賞日:4月28日(火)

今、部屋の中へと降りていこうとしており、その部屋の内側という空間は私の外部として存在する。その外部である空間を私の内部へと変換するために、別の外部をそこに創造しなければならない。しかし、その外部はあくまでも実際の空間としては発生しようのないものだから、観念としての外部を、実際の建築物の内部としか存在しようのない空間と重ね合わせることで、内部と外部を転倒させる。その内と外の境界は、転倒という運動とともに発生するものだから、転倒の装置としての存在するのみで、絶対的な境界として機能してはならない。境界は開かれ、異物を孕み、幻影を示唆する。異物は境界の外から、内側というもの発生を注視し、その成立を拒む。その境界によって発生する空間は、空であるがために、発生ーーしかし内部を充足させるものではなく、容器となりうる可能性のあるものーーの運動が充満する。その境界は絶えず破綻し続け、再生し続ける。