森本太郎 呼応するインテリア

GALLERY TAGA 2201959日~64

現代作家画廊個展

鑑賞日:524日(金)


目の前にあるもの。例えば花瓶に挿した花。視線は花が置かれている状況を包み込み、存在するなにものかとして、と同時に空間として、把握する。その状況は世界の一部分にしか過ぎず、普遍性もないこともわかってはいるが、ある一つの全体として実感される。その仮定としての全体を読み解いていく。それは、中心になにものかがあり、そのものの実在についての検証をするための作業とはならない。仮定の全体のなかでは、なにかがあるということは、空間の変調として現れる。境界と内側からなる場という設定から離れ、さまざまな状態の集積として目の前の出来事を認識する。全体は仮定のものだから、無限であることと断片であることは等しく、その空間認識には距離を伴った奥行きは成立しない。そのように表されるなかで、存在を主張するものたちは、再度屹立することを欲さず、静かに波打つ。