関口正浩「Warped」

児玉画廊|天王洲、2017年5月20日〜6月24日
現代作家画廊個展
鑑賞日:6月8日(木)

表面は抽象的な層であると同時に、奥行きのない物体でもある。その層をディスプレイのなかの架空の次元のみに成立する、もしくは絵画空間のなかの架空の概念的な領域として語らずに、目に見える物体として把握する。それは描くことによって生まれる空間のことを指すのではなく、唯物的な面の拡がりとして、目の前に存在しなくてはならない。絵画が物体なのではない。絵画の支持体が物体であり、さらにその表面もまた物体でしかない。その物体を絵具という物質性よって語らせることをせず、表面を創出する。表面はどの面にあっても表面であり、その表面での出来事も表面でしか起こり得ない。絵画空間が何かが発生する場としてあるという神話を突き崩すには、その場を表面でしか発生し得なかったなにかに置き換えれば良い。奥行も物語も発生せず、物質性も語ることはない、創造的な場のみがそこにあり、しかしそこで創造を起こすものはいない。なぜなら初めから創造を望まないという断念によって、描かれた絵画であるから。