加藤学展

藍画廊、2023110日〜121

現代作家画廊個展

鑑賞日:117日(火)

 

空気の厚みになかに光の粒子が散っている。空気の流れとともに、その粒子たちも変化して、その先にあるはずの事物、山や川や家並みは、形を持たずに私へと届く。その届く間での変化を、その事物が有している時間として把握する。だから事物はある時間のなかで変化するものとして、存在する。それぞれの存在は互いに結びつきながら、しかし時間の切り取りの差異によって分離する。世界は断片化しつつあり、かろうじて全体を保っているものとしてある。しかしながら、全体を見ることはできない。だから視界という枠組みを設定するのだが、その枠組みを超えて事物は流動していく。やはり認識の拠り所にすべきなのは、視覚ではなく、時間なのだろう。それは変化としてしか感知することはできず、その変化のリズムを感知する器官は、わたしのどこにあるのか。感知した後に時間を物質に置き換える作業が発生することになるのだが、物質への置き換えはなにを基準になされるのか。視覚以外の方法で認識したものを、視覚へと置換する。