滝本優美個展

GALLERY33 SOUTH20211216日〜1220

現代作家画廊個展

鑑賞日:1219日(日)


風景は色彩としてある。その実体の質感は限りなく色彩の質感に置き換えられていく。距離と密度が均質になりつつあり、そのような色彩のなかを泳ぐように進む。風景は触覚的というよりも、プールの水のように全身を包むものだ。だから色彩の変化は断層として現れる。均質に見えるが、まったく別のものとでも呼べる世界が隣り合っている。だからこそ、その間を跳躍することが楽しみとしてある。風景を距離と時間で把握することと、色彩で把握することとが等価であることは、この跳躍が自分の身体の移動と視覚の認識のずれのなかで生まれることから明らかだろう。距離と時間は絶えず変化して、その全体を把握することはできない。今見ている風景は、次の瞬間にそのすべてを構成する要素が変質をしてしまっている。視覚による過去の記憶と絶えず整合してようやく部分的な決断ができ、次の行動に移る。その部分的な決断が色彩となり、次の瞬間の色彩と重なり合い、ずれ合い、連続していく。