山口由葉個展「四角い宇宙」

TAKU SOMETANI GALLERY20211211日〜2022116

現代作家画廊個展

鑑賞日:1219日(日)


目の前を通り過ぎる風景と私は、どのような関係を結ぶことができるのだろうか。それらの事物と出来事は、本来はまったく関係がない。しかし、私はある一瞬、その場に立ち、通り過ぎる。私が見たものは、私のなかに残る。それは私の風景になるはずだが、そう言い切る自信がない。私は風景など持っていない。風景が私のなかに入ってきて、私がそれを現実へと放出する。断片として。風景の断片ではなく、私の断片として。それはすでに風景ではないのだろうけれども、風景のようなかたちをまとっている。それが仮のものでしかないことは充分承知しているし、仮のもの以外に存在しようがあるのだろうか。私の存在そのものが風景の断片でしかなく、なにかの仮の姿であると考えたほうが現実に即していると言ってもいいのかもしれない。存在とはそのように一過性のものでしかなく、実感は虚構でしかない。だから仮のかたちを与えよう。常に揺れ動き不安定な姿のものとして。