荻野夕奈「FLOWER UNCHAINING」

KATSUYA SUSUKI GALLERY202133日〜516

現代作家画廊個展

鑑賞日:515日(金)


自分の存在を仮の姿に託す。自分の存在を自分自身の身体を使って高らかに歌いあげることもできるとは知っている。しかし、それは選択しない。なにか仮のものが必要なのだ。自分を隠すわけではない。自分はすでに現れていて、隠れようのない状態となっている。自分を消すことができないからこそ、なにか別のかたちが必要なのだ。それをまとい、別の皮膚を持つことで、私は新たな世界へと入ることができる。その世界もまた私自身でしかないのだけれども、表と裏が入れ換わっているために、私は存在し、かつ存在しない。仮のなにかが、外界との通路となっている。外の人達からは通路の入口しか見えない。私は隠れているはずだ。その入口も私の一部ではあり、そこが私の唯一の出口でもある。私はそこから世界を覗き続け、いつかその通路を抜けて私自身から脱出する。