烏丸由美展 つむぐ ー東洋と西洋、絵画とデザインー

KATSUYA SUSUKI GALLERY202194日〜103

現代作家画廊個展

鑑賞日:9月9日(木)


人は誤解をし合いながら生きていく。互いを理解できると信じているからこそ、誤解を重ねていく。誤解を幾重にもまとった主体は、存在しないのかもしれない。他者のいない自分は存在しようがないからだ。やはり主体というものは、内なる他者としての自分による幻想にしか過ぎないのだろう。誤解を引き受けていく。ディストーションをかけて、音量を上げて。ありきたりの誤解では済まないように、自分を作り上げる。その作り上げた自分を更新するために、ずれた誤解を重ねなければならない。誤解の層は幾重にも重なりずれていく。私は私ではないようなものとなって、増幅していく。歪めれば歪めるほど、届く範囲は狭くなってしまい、かつ理解からも離れていくのだが、多くの人に伝わり理解されるにはこの方法しかない。理解されない誤解になかに、きっと本質はあるのだろう。自分で気づくものではないし、誰かが気付いてもくれない。いくつもの誤解の層のなかのある奇妙な重なりから、誤解ではないと確信できる瞬間が発生する。もちろんそれは移ろいのなかにかき消されていく。